徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)
ショックとは組織の酸素需給に不均衡をもたらす全身の循環障害と定義されます。今月はショックについて考えてみました。
ショックが起こると重要臓器の血流が維持できなくなり、酸素不足になって細胞の代謝障害や臓器障害が発生します。進行すれば酸素不足によって心肺機能不全から心停止に至る危険な状態です。
ショックの原因は様々ですが、ショックの発生が疑われる時には迅速な判断と、適切な処置が行われなければ死に至ります。詳しい原因を推測する前に緊急処置を行います。
ショックはその病態によって、①循環血液量減少性、②心原性、③血液分布異常性、④閉塞性の4つに分類されます。
循環血液量の減少には外傷や消化管出血による出血によるショック(出血性ショック)と、嘔吐・下痢に伴う消化管からの水分消失によるショック(非出血性ショック)が代表的なものです。
心原性ショックは心臓のポンプ機能の不調、即ち心臓から血液を拍出出来なくなる状態です。心筋炎、心筋症、心筋梗塞、先天性心疾患、重症不整脈などがその原因になります。
血液分布異常性ショックにはアナフィラキシーショックや敗血症性ショックが含まれます。急激な末梢血管の拡張によって心臓に還流する血液量が減少することによります。
閉塞性ショックは血流が物理的に閉塞されることによって心拍出量が低下した状態です。
原因の如何に関わらずショックの疑いがあれば生命に関わる状態ですから処置を急ぐ必要があります。