鳴門市賀川豊彦記念館の道向いで、小さな看板に描かれたかわいいサボテンがこちらに手を振る。ここは火曜・木曜・土曜・日曜にオープンする多肉植物専門店。一歩中に入ると、ぷっくり肉厚な葉が愛らしいものから鋭く尖ったクールなものまで、色も形も個性的な多肉植物の世界に惹き込まれる。
「多肉の寄植えが大好きなんです。もちろん単体でもかわいいけど、ギュッと集合体になったときの美しさは格別。鉢によってガラリと雰囲気が変わるのも楽しいです」と声を弾ませるのは店主の藤河茂美さん(66・鳴門市出身)。母の中原知巳さん(86・鳴門市出身)とともに和気あいあいとした雰囲気でお客さんを迎える。
藤河さんは3年前まで趣味で多肉植物を集めていたが、「好きなことをもっと勉強して、コロナ禍の時間を有意義に使おう」と一念発起。通信教育で日本多肉植物講師協会が認定する多肉植物講師の資格を取得した。地元で開かれる寄植え教室に参加したり、生産者を訪問して品種や育て方について教わったり、喫茶店や物産店での委託販売にも初挑戦。次第に「自宅よりも環境の良い場所で育てたい」という思いが膨らみ、鳴門市大麻町にある母の桃畑の一角に多肉専用の小屋を建てた。「販売してほしい」「教室をしてほしい」との要望に応えるうちにお店を開こうと心は決まり、2021年7月、手作りの看板を取りつけて「ミニベル」を開いた。
「小さな小屋と看板だけで始めて、立地的にも不安はありました。でも、お客さんが棚やウェルカムボードを置いていってくれたり、目立つ所に看板を設置してくれたり、気軽に大工仕事を引き受けてくれる人がいたり…、みなさんの協力に支えられて、少しずつ手直ししながら今に至っています」。
お店に並ぶのは、放射状に重なる葉が特徴のエケベリアをはじめ、ユニークな形のユーフォルビアやサボテン、コレクターがいるほど人気のハオルチア、色合いがきれいな韓国苗、セダムなど多数。小ぶりな苗は100円~とお手頃なので、気軽におうちに連れて帰れる。ブログとインスタグラムで入荷情報を発信しており、それを見た人が県内外から訪れる。藤河さんが色や形状のバランスを考えて素敵にアレンジした寄植えも揃う。寄植えはオーダーも受け付けており(1000円~予算に応じて)、プレゼントにも喜ばれる。寄植え教室は少人数制で随時開催(要事前相談)。「その場で好きな苗と鉢を選んでもらって、一緒に植えることもあります」と柔軟にお客さんに寄り添う。昨年11月には、埼玉から講師を招いてモルタル教室を開催した。モルタルで作る温かみのあるオブジェは多肉植物と相性がよく、好評を得たため、今後定期的に開催していく予定だ。ほかにも、毎月10日をサボテンの日としてくじ引きやお買い得コーナーを設けるなど、「多肉を通して生まれる繋がり」を大切に一歩ずつ穏やかに歩んでいく。
小さな多肉屋さん ミニベル
徳島県鳴門市大麻町桧東山田63-9
090-8280-7263(電話受付は営業日の10:00~15:00)
営業時間=10:00~15:00
定休日=月曜、水曜、金曜休
駐車場:あり
多機能トイレ:なし
Wi-Fi:なし
キッズスペース:なし
開店:2021年