「やっぱり四国はいい」。徳島新聞など四国の4新聞社による「四国活性化プロジェクト」の一環で、魅力を発信する「#四国はイイトコ」アンバサダーに就いた水谷若葉さん(23)=松山市出身=が4県の名所を巡り、プロモーション動画を撮影した。人の温かさ、ゆったりとした時の流れ、くつろげる雰囲気。古里の良さを再認識した水谷さんに、心に残った「イイトコ」を紹介してもらった。

伝統と現代が重なるマチ

 水谷さんは1月中旬に4日間かけて四国を巡った。「どこも新鮮だった。小さい頃に家族と行ったことのある場所もあったけど、改めて訪れると、また印象が違った」と、水谷さんは頬を緩める。

和傘を手に、うだつの町並みを散策する水谷若葉さん=美馬市脇町

 徳島の大塚国際美術館では、世界の名画を再現した陶板画の数々に圧倒された。

 愛媛では、見慣れた道後温泉や松山城を、行ったことのなかった早朝に訪問。清新さを感じた。

 香川では金刀比羅宮の表参道が気に入った。一日かけてゆっくり歩きたいと思った。

 高知の桂浜は、砂浜の大ぶりな石が印象的。開けた太平洋の輝きがまぶしかった。

 スタッフによる動画撮影の合間に、自分のスマートフォンでも頻繁に写真を撮った。「自然がきれい。どこを切り取っても絵になる」

 新たに気付いたことがある。魅力的な場所は、伝統と現代が融合していた。「古い町並みや通りにカフェがあったり、歴史がありそうな店でおしゃれなスイーツがあったり。都会にはない、地方ならではの良さを感じた」

 仮想ライブ空間「SHOWROOM」では、水谷さんが歌やトークを生配信するたび約千人が視聴する。「あの良さを、どんなふうに伝えようかな」。古里のPRに、ワクワクしている。

「しんどくても自分次第で世界は変わる」

 子どもの頃からタレントになりたいと思っていた。歌う、踊る。自分がしたことで、誰かが笑顔になるのがうれしかった。音楽の道を志し、済美高校の音楽専攻コースを経て洗足学園音楽大のミュージカルコースに進む。

 3年時の2020年4月、新型コロナウイルス禍で大学は休講に。ミュージカルの稽古はオンラインではできない。出演が決まっていた舞台も次々と中止された。

 行き詰まりを感じる中、知人の紹介で知った「SHOWROOM」に飛び込む。生配信による視聴者とのコミュニケーションに可能性を感じ、その年の秋に大学を辞めた。迷いはなかった。「好きなことのため。変化は怖くない」

 夢はシンガー・ソングライター。都内の芸能事務所に所属し、舞台やライブ活動を重ねる。

 閉塞感が漂い、不寛容な時代ともいわれる。言動を非難され、窮屈さを感じることもある。そんな古里の若者に伝えたい。「しんどくても、自分次第で世界は変わる。人生は1回きり。好きなことに全力で向かってほしい」。一歩踏み出した自分のように。

 

#徳島 芸術・体験・食にワクワク

 徳島県で一番楽しみにしていた大塚国際美術館は予想をはるかに超える迫力で、感動で胸がいっぱいになりました。その世界に引き込まれます。

大塚国際美術館

 徳島といえばの藍染めも体験しました。やっぱり体験型の観光って楽しいよね!

藍染め

 独特の藍の香りに包まれて自分だけのオリジナルグッズを作るのは特別感もあってとても楽しかったです。

 そして腹ごしらえに徳島ラーメン!。初の徳島ラーメンに移動中からワクワクが止まらない笑

徳島ラーメン

 濃い味のスープに卵がベストマッチ。たまらん。麺とよく絡んで最高においしかったです!

 芸術に体験に食にと、たっぷり徳島を堪能できました。

#愛媛 実力派の舞台を身近に

 愛媛県は私の出身地。慣れ親しんだ地元はやっぱり落ち着きます。松山城下の街はレトロな雰囲気があって歩くだけで特別な気分になります。

 欠かせないのは道後温泉!。昼もいいけど夜のライトアップされた景観はしっとりと美しいです。そして私が何よりお勧めしたいのは、坊っちゃん劇場。都会の劇場に負けない舞台設備に実力派の俳優さんたちがつくり出すステージはいつ見てもかっこいい! 

道後温泉

 だからこそ舞台を観(み)ることが少ない地元の同世代のみんなにも、もっと身近に感じてもらいたい。そしてミュージカルをしていた私にとっていつか必ず立ちたいと思える、そんなたくさんの目標が詰まった場所です。

坊っちゃん劇場

 愛媛の海や山の幸を食べて私も立派な表現者になるぞー!

#香川 映えスポットが熱い!

 香川県で一番忘れられないのは、骨付鳥!。ぷりぷりで、濃い味のお肉からジューシーじゃ収まらないくらいの肉汁があふれてきて、思わずうなってしまうくらいおいしかった! 思いっきりかぶりついてほしいです笑

骨付鳥

 そして香川には美しい場所がたくさんあります。「こんぴらさん」の表参道は昔ながらの雰囲気の中に現代のオシャレでかわいいお店が並んでいたり、父母ケ浜では夕日とともに人が水面に反射する「映(ば)え写真」が撮れたりします。

父母ケ浜

 写真を撮るのが好きな私も香川ではシャッターが止まりませんでした! フォトジェニックな場所に行きたいなら香川が熱いぞ!

#高知 パワーと癒やしを堪能

 お酒&肴(さかな)が大好きな私にとって、高知県のひろめ市場は興奮ものでした。何だこの天国みたいな場所は…! いろんなお店が屋台のように並んでいておいしそうなものがずらり。たくさんの人でにぎわう店内にテンションMAX! さすがお酒の国・高知。

ひろめ市場

 カツオのたたきやウツボの唐揚げ、アオサの天ぷらなど思わず食べすぎる。屋台のギョーザに鍋焼きラーメンも…四国4県で一番食べました笑

 もちろん食べ物以外にも、大きな龍馬像のある桂浜は遊泳禁止だからこその美しい海岸と波の迫力を感じました。

桂浜の龍馬像

 4月からのNHK朝ドラのモチーフ、牧野富太郎さんの植物園は広大な土地で四季折々の植物に囲まれ、心も体も癒やされます。パワーと癒やしどちらも堪能できる高知最高!

来て!見て!知って!

 「#四国はイイトコ」をテーマに、四国4県の若者に地元の魅力を聞いた。

樫原 美鈴さん(18)徳島商業高3年、徳島市

樫原美鈴さん

 十郎兵衛屋敷や農村舞台で演じられる阿波人形浄瑠璃。小学生の時に始め、地元の一座に入りました。人形遣いや太夫、みんなで協力し合って舞台をつくるのが魅力。演目で描かれる人情は、現代にも通じます。

中村 太一さん(23)愛媛大4年、松山市

中村太一さん

 松山は自転車で行ける範囲に何でもそろっている便利な街。道後や松山城もいいけど、四国カルストでのキャンプや久万高原のスキーなどアウトドアも楽しいです。就職も松山で決めました。

岡林 幸海(こう)さん(20)高知大2年、高知市

岡林幸海さん

 明るい人と自然が自慢。日曜市はスーパーにはないアットホーム感が好き。名物の芋天を食べ、お店の人と立ち話するのも楽しい。仁淀川の河原に立てたテントサウナで汗を流し、川に飛び込むのも最高です。

溝口 愛美咲(あみさ)さん(20)高松大3年、高松市

溝口愛美咲さん

 高松市牟礼町で開催される「むれ源平石あかりロード」を推します。源平史跡が残る街道沿いを石明かりが照らし、幻想的な雰囲気を楽しめる人気イベント。SNSに投稿する人も多いです。

池田 優希さん(18)徳島科技高3年、徳島市

池田優希さん

 徳島の魅力は川。川掃除参加がきっかけで、徳島市中心部を巡る観光船の運転手を務めるようになりました。護岸の青石、県庁前に並ぶヨットなど、船からの景観は最高。きれいな川をずっと守ってほしいです。

丸岡 好(このみ)さん(22)松山大4年、松山市

丸岡好さん

 進学で徳島から松山へ。気に入っているのは、道後温泉など歴史を感じられる場所が近くにあること。現存12天守の松山城や宇和島城をはじめお城がたくさんあることを知り、興味を持つようになりました。

森 麗花さん(16)大方高2年、黒潮町

森麗花さん

 高知は海がほんとにきれい。海派の私は、海のそばの厳島親水公園で家族写真を撮ったり、塩屋の浜でおしゃピク(おしゃれピクニック)をしたりするのが好き。魅力を伝えるには、やっぱりSNSですよね。

高嶋 光色(ひいろ)さん(16)高松北高1年、高松市

高嶋光色さん

 こんぴらさんや源平合戦の舞台となった屋島など歴史を感じられる場所が多い。災害が少なく、自然豊かで住みやすい。瀬戸内海の島々や父母ケ浜、瀬戸内国際芸術祭など観光地やイベントもたくさんあります。

 四国活性化プロジェクトは、四国の4新聞社が紙面やイベントを通して地域活性化の多様な視点を提起するプロジェクト。28回目の本年度は、魅力をPRする「#四国はイイトコ」アンバサダーを選んだ。2022年11月にライブ配信サービス「SHOWROOM」上でアンバサダー決定戦を開催。14人がエントリーし、視聴者の投票や主催者による審査の結果、水谷さんが選ばれた。水谷さんが四国を巡ったプロモーション動画はホームページで見られる。
 【主催】徳島新聞社、四国新聞社、高知新聞社、愛媛新聞社
 【協賛】大王製紙
 【後援】四国経済連合会、四国商工会議所連合会、四国ツーリズム創造機構