吉野川橋から寒ボラを狙う釣り人。今は禁止されている=1967(昭和42)年、本社所蔵写真

吉野川橋から寒ボラを狙う釣り人。今は禁止されている=1967(昭和42)年、本社所蔵写真

 寒い中、厚着をして吉野川橋の橋桁に座り、長いさおを差し出しているのはボラ狙いの釣り人たちだ。

 1967(昭和42)年に撮影された光景。おおらかな時代とはいえ、危険な行為だ。その後、禁止されて姿を消した。

 そこまでして釣りたいほど、寒ボラは脂が乗っておいしい。高度成長期に水質汚濁が進んだこともあって今は敬遠する人も多いが、江戸時代には高級魚として流通し、贈答品にも使われたという。

 北海道以南の海と汽水域に生息するなじみの深い魚で、地方名も多い。成長に伴って名が変わる出世魚としても知られる。地域によって異なるものの、大きくなるにつれて「イナ」「ボラ」「トド」と変わることが多く、「いなせ」「とどのつまり」などの語源という説もあるそうだ。