幼少期を徳島で過ごした社会運動家・賀川豊彦の妻ハル(1888~1982年)を描いた評伝小説「春いちばん」の著者・玉岡かおるさん=兵庫県=が4日、徳島市のふれあい健康館で講演した。県勤労者福祉ネットワークの設立25周年記念で、オンラインを含む約120人が参加した。
玉岡さんは、賀川と共に神戸のスラムで貧しい人たちの救済活動に当たったハルについて「そよ風のように優しく、強い風を吹かせた後には穏やかな春を連れてくるような、風のような人だった」と評した。
女性解放運動にも取り組んだ賀川とハルの活動を、持続可能な開発目標(SDGs)と比べ、「貧困をなくそう、ジェンダー平等などの目標は、2人が100年前やったことばかり」と強調。「歴史を知ることは先人の英知を今に生かすことだ」と訴えた。
鳴門市大麻町の団体職員、梶本一夫さん(61)は「賀川豊彦は1人ではなく、ハルさんと支え合って大きな足跡を残せたことが改めて分かった」と話した。