エフエム徳島(徳島市)が、震災後の復興をテーマにしたラジオドラマを制作した。近い将来起こるとされる南海トラフ巨大地震に備えて県民の防災意識を高める狙いで、県や徳島大と共同で開催したシナリオコンテストの上位3作品を基に制作。プロの声優や城東高校の演劇部員らが登場人物を演じ、東日本大震災発生日前日の10日に放送する。
3作品のうち、最優秀賞に輝いた「図書館の約束」は神奈川県在住のライター望谷まとさんの作品。南海トラフ巨大地震発生から5年後の海陽町を舞台に、再建された図書館の司書を務める女性主人公の元に男性が震災前に借りていた本を返しに来るという物語で、声優の村中知さんや慶長佑香さんらが演じた。
優秀賞2作品のうち「結びのお茶会」は声優の中里望さんらが、「あの日、家族のように」は城東高演劇部員4人が演技を担当した。主役を演じた1年の林はなさん(16)は「リスナーにはっきりと聞こえるようにせりふを丁寧に言った。防災について考えてもらうきっかけになればうれしい」と話した。
防災ドラマの制作は、事前復興をテーマにした2021年に続き2回目。昨年5~8月に行った募集に県内外から143点の応募があり、最優秀賞、優秀賞のほか入選3作品を選んだ。ドラマは1話当たり10~15分で、10日正午からの特別番組で放送するほか、県のユーチューブチャンネルでの公開も予定している。
企画、制作を手掛けたエフエム徳島の浜野里奈営業部長は「災害時に役立つラジオを通して物語を楽しみ、震災や復興について想像するきっかけにしてもらいたい。今後も県内外から作品を募集し、防災啓発に取り組んでいきたい」とPRしている。