東日本大震災時、被災地では男女格差が拡大し、深刻なドメスティックバイオレンス(DV)や経済的困窮などで、苦しい立場に追いやられる女性が多くいた。一方で、それまでの生き方を見つめ直し、新たな道を歩み出した人も少なくない。震災から間もなく12年。彼女たちはどのように困難を乗り越え、生きてきたのか。

 「私はあの日、生かされた」。津波に見舞われた岩手県大槌町で九死に一生を得た澤山美恵子さん(66)は、残りの人生を人のために生きようと決意し、主婦から町議へ転身。地域の高齢者を雇用する場をつくろうと、クレソンの栽培にも乗り出している…