シキさんは無言でオレの話を聞いていた。
「本館に寄ってみたんだけど、やっぱりダメだった。“振鷺閣”っていう赤い部屋で、カタマはずっと固まってた。指笛にも反応しない」
「まぁ、あいつもええ年じゃけんのぅ」と、シキさんは久しぶりに口を開く。