東日本大震災の発生から11日で12年となる。近い将来に起きる恐れがある巨大地震として警戒されているのが、徳島県でも甚大な被害が予想されている南海トラフ巨大地震だ。発生の可能性が高まると、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表する。1週間程度の事前避難が必要となる地域もあり、暮らしに大きな影響を与えるものの、認知度は低い。なぜ臨時情報が必要と考えられたのか、発表の流れはどうなっているのか、改めて整理した。
◆過去に列島東と西、連続発生
1946年12月21日、紀伊半島沖を震源に発生した昭和南海地震。被害は中部地方から九州にまで及び、犠牲者は1330人に上った。県内は震度5の揺れと津波に襲われ、202人が犠牲になった。この2年前の44年12月7日には熊野灘を震源とする昭和東南海地震が発生し、1223人の犠牲者が出ている。
南海トラフとは、静岡県沖の駿河湾から九州の日向灘沖の海底に延びる溝状の地形を言う。約2年の間隔を置いて、この南海トラフの東側と西側で巨大地震が起きたことになる。過去の南海トラフ地震では、震源域の東西で時間差をもって地震が起きる現象が複数回起きている。
幕末(安政期)の南海トラフ地震にもこうした時差が見られる。安政南海地震が起きたのは1854年12月24日。その約32時間前の23日には安政東海地震が発生している。
一方で、1707年の宝永地震は東西で同時に発生した。南海トラフ巨大地震の発生の仕方は多様で、次の地震がどのように起きるのかは分からない。ただ、東側または西側のいずれかで先に地震が発生した場合などに、次の巨大地震への警戒を呼び掛けようと2019年から本格運用が始まったのが「臨時情報」という仕組みだ。
◆次の揺れへの警戒「臨時情報」で促す 津波に備えた事前避難地域、県内4市町で設定
南海トラフ地震臨時情報は、想定震源域で巨大地震が起きた後、震源域内の他の場所でも同規模の地震が発生する恐れが大きい「半割れ」と判断された場合、気象庁が発表する。昭和南海・東南海地震や安政南海・東海地震はこれに当たる。その他、「一部割れ」や「ゆっくりすべり」と呼ばれるケースでも出す…

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