向井康介さん(本人提供)

向井康介さん(本人提供)

映画「ある男」ポスタービジュアル(©2022「ある男」製作委員会)

映画「ある男」ポスタービジュアル(©2022「ある男」製作委員会)

 第46回日本アカデミー賞の授賞式が10日、東京都のグランドプリンスホテル新高輪・国際館パミールで開かれ、三好市出身の脚本家・向井康介さん(46)=東京都在住=が「ある男」(石川慶監督)で最優秀脚本賞を受賞した。向井さんは「自分でいいのかなみたいな気持ち。他の賞もいっぱいもらえたので、みんなで受賞できたのがうれしかった。特に作品賞がとれたのが一番うれしかった」と喜びを語った。

 「ある男」は、芥川賞作家・平野啓一郎さんの同名小説が原作。弁護士の城戸(妻夫木聡さん)が、事故死した夫・大祐(窪田正孝さん)が戸籍とは全くの別人だったと知った里枝(安藤サクラさん)の依頼を受け、名前すらもわからない「男」の正体とその真実に迫っていく。

 向井さんは池田高校を経て大阪芸術大卒業。これまでに「リアリズムの宿」(2003年)、「リンダリンダリンダ」(05年)「マイ・バック・ページ」(11年)、「愚行録」(17年)など数々の映画脚本を手掛けてきた。14年から約3年間、文化庁新進芸術家海外研修制度で北京への留学も経験した。

 向井さんは「この年齢になってこういう賞をとれたのは励みになるので、ここからまた新しい気持ちで仕事に取り組めそうな気がしますし、また新しいものが生み出せそうな気がします。まだまだ勉強しなきゃいけないこともいろいろあるので日々精進して取り組んでいきたい」と抱負を語った。

 県人では過去、鳴門市出身の板東英二さん(82)が「あ・うん」(1989年)で最優秀助演男優賞を受賞。小松島市出身の故大杉漣さんが「HANA―BI」(98年)で優秀助演男優賞、同市出身の住友紀人さん(59)が「ホワイトアウト」(2000年)と「沈まぬ太陽」(09年)で優秀音楽賞を2度受賞している。

 今回の日本アカデミー賞で「ある男」は、脚本賞含め作品賞、監督賞、主演男優賞など最多計8部門で最優秀賞を受賞した。(植田充輝)