鳴門市の公民館や集会所などに高齢者が集まる「いきいきサロン」が、市内各地で継続的に活動している。住民が主体となって運営し、体操やレクリエーションなどを実施。2016年4月のスタートから約7年がたち、開催数が300回を超えたサロンもある。新型コロナウイルス禍で懸念されている孤立やフレイル(虚弱)の防止、健康づくりに役立っている。
サロンは、住民同士のつながりづくりや介護予防を目的に厚生労働省と自治体が設置を促す「通いの場」の一つ。鳴門市では現在、56カ所で活動している。それぞれ7~40人が集まって月2回や週1回といったペースで催しており、参加者は19年度に計828人を数えた。コロナ禍で一時は激減したが、22年度は866人に回復した。
大津町の段関集会所で17年2月から開いている「いきいきサロン段関」には15人が登録。毎週火曜の午前中に集まり、介護予防の運動プログラム「百歳体操」をはじめ、折り紙や川柳、合唱、手品などに挑戦している。企業訪問や工場見学なども行い、外出や興味を広げる機会を設けている。コロナ下でも市から消毒用品の提供を受け、活動を継続。23年1月に開設から300回を迎えた。
初回から参加している山形久子さん(71)が楽しみにしているのは参加者同士のおしゃべり。「家に閉じこもっているより、話し合える場所に来るとストレス発散になる」と開催日を心待ちにする。辻加米一会長(74)は「他のサロンとの交流など、協力して健康寿命を延ばしていきたい」と意気込んでいる。
厚労省は25年度までに「通いの場」の参加率を8%にする目標を掲げる。鳴門市は19年度に8・4%だったが新型コロナ感染拡大で減少し、22年度は4・4%(4月時点)となっている。市長寿介護課は「コロナで休止したサロンに再開を呼び掛けるなどして参加率を高め、高齢者の介護予防につなげていきたい」としている。