J2徳島ヴォルティスは2次キャンプ8日目の16日、宮崎市のシーガイアスクエアでJ1広島と練習試合(45分4本)を行った。積極的にプレスを掛けてボールを奪うことと、しっかりボールを回して中央突破やサイドクロスからシュートに持ち込むという狙い通りのプレーを随所に見せた。一方、寄せの甘さやパスミスから失点し、今後の課題となった。
1本目は前線からボールを追ってパスコースを限定し、球際で競り負けずにボールを奪った。自陣に引いて守備ラインをセットする広島に対し、ボールをじっくり回してチャンスをうかがう冷静さもあった。35分、広島のFW佐藤に先制を許したが、ロスタイムにDF広瀬陸のCKをDF橋内が右足で合わせて同点に。2本目はやや運動量が落ちたが、何とか粘って0-0に持ち込んだ。
メンバーを入れ替えた3、4本目も前線からのプレスを徹底して内容は良かったが、ミスからの失点が痛かった。
◎1本目終盤 価値ある得点
前線に入れたボールがうまく収まらなくても、すぐに切り替えてプレスを掛ける。しっかりとコースを切ることで後方の仲間のボールの奪いどころが明確になる。J1広島を相手に、足を止めない組織的な守備を披露した徳島。1-3という結果を嘆くよりも、キャンプで積み重ねてきた成果を喜ぶべき一戦だった。
昨季はJ1で2戦とも敗れた広島には徳島市出身のDF塩谷をはじめ、日本代表が何人もいる。さすがにパススピードが速く、球際にも強い。一方的に押し込まれる恐れもあった。しかし、立ち上がりから積極的にボールを追い、相手のパスワークを乱した。マイボールになると斉藤、佐々木陽のダブルボランチを起点にボールを回し、内田、広瀬陸の両SBが果敢に駆け上がって精度の高いクロスを放った。
0-1で迎えた1本目終盤には広瀬陸のCKを橋内が右足でたたき込んだ。CKからの失点が少ない広島から価値ある得点を奪った橋内は「今の時期の結果や得点を気にはしない。でも、チームで意図するプレーができたことはよかった」と古巣相手の腕試しで得た収穫をかみしめた。
90分間通してプレーする体力を養うこともテーマだった徳島は、広島が選手を総入れ替えした2本目に運動量で下回った。そこで拙速に蹴り込まずにボールを保持したのは賢明な策ではあったが、堅い守備に割って入る迫力には欠けていた。鋭い縦パスがFW長谷川悠に入ったときに決定機が生まれていたことを思えば、半円状にボールを回しながらも急所を突くパスとサポートがもっと欲しい。
とはいえ、昨季は防戦一方だった広島に対し、前から追い詰め、自分たちでボールを回して攻めを形づくろうとした。大きな進歩をよりどころに、チームは歩みを進めていく。