関西在住メンバーからなるレゲエ・スカバンド「HESO Riddim Circle(ヘソ・リディム・サークル)」が、三好市の池田高校野球部を春夏3度の甲子園制覇に導いた故蔦文也元監督をイメージしたゆるキャラ「つたはーん」のテーマソングを作成し、県内のイベントで披露している。リーダーの寺田成さん(54)=堺市=が転勤で徳島に来たのをきっかけに結成し、曲を作った。寺田さんは「徳島への愛が詰まった一曲。ぜひライブに来て生演奏を聴いてほしい」と力を込める。

ビッグバンド編成でのライブでイベントを盛り上げたヘソ・リディム・サークルのメンバー=2月25日、三好市の三芳菊酒造

 バンドは、寺田さんら関西学院大軽音楽部出身者が中心となって2015年に結成した。現在のメンバーは37~54歳の男女15人ほど。寺田さんが担当するトランペットのほか、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、トロンボーン、サックス、キーボード、カホンによるビッグバンド形式で演奏する。全員がプロではなく、イベントごとに大阪や兵庫など関西各地から集まり、ライブを行っている。

 寺田さんは14~18年に徳島で暮らした際、三好市に移住した起業家らと意気投合した。その行動力に刺激を受けて、学生時代に熱中した音楽活動の再開を決意し、親しい後輩にバンド結成を呼び掛けた。バンド名は、四国の中央に位置し「四国のヘソ」と呼ばれる三好市にちなんだ。「リディム」はレゲエ用語でリズム、「サークル」は英語で仲間を意味する。

同じ大学の軽音楽部の先輩後輩がイベントごとに集まり旧交を温めながらライブ演奏を楽しんでいる=2月25日、三好市の三芳菊酒造

 テーマソングのタイトルは「ビバ!つたはーん。」。寺田さんの妻でキーボード担当の悦子さん(54)が作詞作曲を手掛け、バンド誕生の地・三好市を盛り上げようと16年に完成させた。歌詞に池田高校と関西学院大の校歌を引用したフレーズを取り入れており、スカ特有のオフビートを基調とした陽気な曲に仕上がっている。

 17年には、兵庫県西宮市の甲子園球場近くにある甲子園口商店街で行ったライブで徳島をPRし、三好市から参加した「つたはーん」とのコラボも実現。徳島県内では、「はな・はる・フェスタ」や「徳島ロックストリート」などのステージで年に数回はライブを行い、寺田さんが徳島を離れてからも活動を続けてきた。

 新型コロナウイルスの影響もあってここ3年ほどイベントには参加していなかったが、今年2月25日に三好市池田町であった「四国酒まつり」に出演し、三芳菊酒造(同市)の酒蔵でライブを披露した。メンバーが観客と一緒に日本酒をあおりながらのにぎやかなライブとなり、大いに盛り上がった。

 今後も徳島をテーマにした曲を作っていきたいという悦子さん。「徳島は魅力がないと言う人がいるが、そんなことはない。この曲を通して県外の人だけでなく、県内の人も徳島を知るきっかけになってくれれば」。寺田さんも「徳島生活で培った縁を今後も大切にしていきたい。バンド活動を続けることで、地元関西と徳島の若いバンドマンをつなげられるイベントも開けたらうれしい」と話している。(植田充輝)