徳島市の阿波踊りが開幕し、先頭を切って踊り込んだ殿様連=12日午後5時50分、徳島市の市役所前演舞場

 平成最後の夏を彩る徳島市の阿波踊り(阿波おどり実行委員会主催)が12日、華やかに幕を開けた。昨年まで主催団体の一つだった市観光協会(破産手続き中)の巨額赤字問題を受け、徳島市が発足させた新たな実行委によって初めて催される今夏の阿波踊り。千人以上が一斉に踊る「総踊り」の中止決定を巡る混乱を乗り越え、踊り子たちは初日から情熱をたぎらせた。

 午前9時に気温30度を超えた徳島市。街中を包む熱気は夕方になっても収まらない。宵闇が迫る午後6時、8年ぶりに復活した元町を含む7演舞場で高張りちょうちんが一斉に揺れ、小気味よい2拍子が開幕を告げる。通りのあちらこちらでぞめきのリズムが響き、街は一気に踊り天国。踊り子たちは「阿波踊りは徳島の宝」とばかりに、エネルギッシュな乱舞を繰り広げた。

 赤字解消を目指して今夏、有料4演舞場のフィナーレに初めて導入された有名連の踊り込みでは、桟敷を埋めた観客も大浮かれ。頬かぶり姿でうちわを振り回す男踊り、あでやかな掛け声とともに歩を進める女踊り。観客たちは、途切れることのない乱舞の波に酔った。

 初日の人出は33万人で、240連(ともに主催者発表)が繰り出した。阿波踊りは15日まで。