フィニッシュ会場が見えた時、思わずほっとしました。やっと休める、と。4年ぶりのとくしまマラソンとはいえ、「もっともっと走りたい!」「ゴールするのが寂しい!」なんて思うわけがありません。42キロですよ。左ふくらはぎはつるし、腰は痛いし。でも、本当に楽しい1日でした。

 大会前日(18日)の徳島新聞朝刊に掲載した特集で、調子に乗って「あわラン執筆者情報」なんてコーナーを設けた上に、目標は「サブ4(4時間未満で完走)」。久しぶりの阿波路をのんびりと満喫しようと思っていましたが、大会前は気持ちが大きくなるんですよねぇ。まぁ、1年に1回ぐらいは自分に挑戦するのも悪くない。

 午前8時前、スタート地点の県庁前は大にぎわいです。気合入れの儀式をしたり、記念撮影をしたり。私も「ラン友」さんのグループに「サッカーユニホームで走ろう」と誘われたものだから、今回は日本代表ユニを着用。いいですね、この雰囲気。ここ数年、本当に多くのラン友ができました。

普段は車が行き交う国道をランナーが埋め尽くします。非日常感がマラソン大会の醍醐味

 4年ぶりのとくしまマラソン。吉野川、眉山、堤防道路・・・。変わらない風景です。ん?ディスってはないです。この圧倒的な開放感は意外とお気に入り。日差しは強かったのですが、北岸は冷たい逆風。南岸に渡ると、気温はぐんぐんと上昇、さらに微妙に逆風。なんでやねん! 堤防ならではの気候でしょうか。スポーツドリンクと水のチェイサーでお腹はグルグルです。トイレタイムは1回に抑えました。

 そして沿道の応援。新型コロナウイルス感染症対策で、以前のようにハイタッチはできなくなりました。その分、音楽ライブだったり、和太鼓演奏だったりと工夫を凝らしてランナーを鼓舞してくれます。第6給水所(エイド)では「あわラン! 頑張れ!」との激励も。人って応援されるとうれしいんですよね。

 そうそう。私の大上司、徳島新聞社理事編集局長もサプライズで応援。写真を撮ってくれましたが「あかん、撮れん。もう1回」。普段は温存しているダッシュで追い付き、スマホで大連写。撮れたようです。たぶん、ミスっていれば「ちょっと止まってだぁ」と言うつもりだったかも。決していじっているわけではありません。こういうイベントって上司と部下の垣根がなくなるというか、無礼講というか、そんな雰囲気がいいですよね。フォローになっていますかね? 何はともあれ「あわラン」でお礼を申し上げます。

ランナーを楽しませた阿波踊り。各所でぞめきのリズムが響いていました

 記録は4時間19分。大見えを切ったサブ4に届かなかったのは、私の不徳の致すところ。30キロ手前から急に足が動かなくなりました。完全に練習不足ですね。マラソンは甘くない。でもいいんです。実は今シーズンのベストタイムです。まっ、ぼちぼちいきませんか。人生は長いですから。

 ランニングを始めて10年余り。体重は減るし、割と健康的になるし。大会に出ると、旅行はできるし、目標達成の喜びが味わえるし。多くのラン友のおかげで、新たな交流や活動の幅も増えました。本当にいいことばかり。しかし、2020年2月、新型コロナ感染流行でマラソン大会は相次いで中止・自粛となり、晴れの舞台が奪われました。ランニング自体も飛沫(ひまつ)が懸念され、周りにけげんな顔をされる始末。あれから3年がたちました。ようやく徳島にも市民ランナーにとっての日常が戻ってきた、と実感しています。

 ランナーにとって大会は欠かせません。そして、とくしまマラソンは県人ランナーからすると「ホームレース」です。やっぱり地元を走れるって最高の気分なんですよね。来年も再来年も当たり前の日常が続くことを願っています。めちゃめちゃ、しおらしいでしょ? 大会を走ると、温かい応援やおもてなしで心が洗われるんです。

給水所(エイド)はパワースポット。飲食物だけでなく、温かい声掛けは本当にありがたいです

 ランナーの皆さんお疲れさまでした。大会運営やボランティア、応援の皆さんありがとうございました。私の今シーズンのレースは全て終了。少しサボったら練習を再開します。次はどこの大会に出ようかな。東京、北海道、那覇、ホノルル・・・楽しみはつきません。引き続き「あわラン」をよろしくお願いします。

軽やかなステップで進むゲストランナーの神野さん。来年はこの人のように…絶対無理

 矢田諭史(やた・さとし)
 12年のとくしまマラソンに初出場。自己ベストは3時間44分(19年のとくしまマラソン)。47都道府県の大会で完走するのが目標。

 新居和人(にい・かずと)
 17年のとくしまマラソンに初出場。自己ベストは3時間4分(23年の大阪マラソン)。今季の目標はサブ3。走り始めてから26キロの減量に成功した。

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【記者のマラソン体験記】2019~2021年連載。記事一覧はこちら↓
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