徳島での勤務は、首席幕僚を務めた2016年以来、2年ぶり2度目。着任式では、15年に徳島空港の管制ミスで起きた日航機着陸時のトラブルに触れた。「時間がたてば教訓も風化する。いま一度、気を引き締めてほしい」。穏やかな口調ながらも、信頼回復への高い意識を隊員に求めている。
佐賀県神埼市出身。もともと自衛官を強く志したわけではなかったが、防衛大の4年間で思いを固めた。「一般の人にはあまり知られていないが、国を守る任務を黙々と果たす人たちがいる。自分も一生を懸けたい」
その思いを実感した出来事がある。1999年に日本で初めて海上警備行動が発令された能登半島沖不審船事件。戦術航空士として哨戒機に乗り込み、北朝鮮船の進路や速力を護衛艦に伝え、乗員の動きを監視した。「緊迫する現場の最前線に立ち、最も印象深い任務だった」と振り返る。
少子化の影響などで自衛官の採用難が続く中、柔軟な働き方を目指す。前回の勤務時は、宿直人員の見直しなど業務の効率化を推進。今回もフレックスタイム制の有効活用や、文書報告の手順の簡素化を考えている。「女性も働きやすい環境にしたい。明るく、やりがいのある職場づくりに取り組みたい」
徳島の食材が気に入っている。好きな食べ物を問うと「ハモやタイ、阿波尾鶏に松茂美人・・・」。すらすらと特産品の名が出てくるほどだ。神奈川県大和市の自宅に家族を残し、単身赴任。54歳。