「サマータイム・ブルース」は、早世した米国の歌手エディ・コクランが1958年に発表したロックの名曲である。「デートがあるのに、『残業しろ』だってよ。議員に頼んでも力になれない、とさ」。やりきれない夏の憂鬱、はじけるような恨み節

 カバーするミュージシャンも多い。小欄としては英国のバンド「ザ・フー」のライブ盤を推すが、異論もあって当然

 「RCサクセション」の故忌野清志郎さんは、この曲に乗せて「原子力はいらねえ」と叫んだ。東京電力福島第1原発事故のはるか前、チェルノブイリの衝撃が収まらない今から30年前のこと。レコード会社の親会社・東芝を巻き込んだ騒動も話題になった

 で、話は全く変わる。東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、国全体の時間を夏だけ早める「サマータイム」が検討されている。朝も涼しいうちに。それは分かるが夕刻からの競技は? そもそも競技時間をやりくりすれば済む話では

 かつて実施されたものの、定着しなかった夏時間。国民生活への影響は大きく、「残業が増える」「睡眠障害を招く」といった反対論も根強い

 利点もあり、一概に否定はしないけれど、五輪を錦の御旗にするのはどうだろう。西日に焼かれる阿波踊り、深夜の花火大会・・・てなことにも。夏の憂鬱が増えないよう、事は慎重に。