磨き抜かれた匠の技が見る者をとりこにした。徳島市の阿波踊り(阿波おどり実行委員会主催)は2日目の13日も、踊り子たちの妙技がさえ渡った。胸元を乱した男衆はちょうちんを器用に回しながら演舞場を縦横無尽に駆け巡り、両手を高く挙げた女踊りは一糸乱れぬ群舞を披露。ぞめきのリズムに包まれた街角やおどりロードでは踊り子たちと見物客が交じり合い、あちらこちらに乱舞の渦ができた。
「カカン、カカン、カカン」「ドン、ドドン、ドドン」。午後6時の開演と同時に軽快なぞめきのリズムが響くと、踊り子たちの表情も一瞬で引き締まる。「ヤットサー、ヤットヤット」。女踊りの艶やかな掛け声は早くも本調子だ。今夏デビューの新連長たちも熟練の踊りや鳴り物で桟敷を沸かせた。
今年新たに設置された「秋田町おどりロード」や、8年ぶりに復活した元町演舞場では、多彩な連が情熱あふれる踊りを繰り広げ、大勢の観光客を魅了。「踊り天国」の乱舞絵巻も佳境に入った。
この日の人出は30万人で、220連(ともに主催者発表)が繰り出した。阿波おどり振興協会は実行委から自粛するよう求められていた「総踊り」を、両国橋南詰めおどりロードで強行した。