「総踊り」を行う阿波おどり振興協会所属連の踊り子=両国橋南詰めおどりロード

 阿波踊りの有名連14連でつくる「阿波おどり振興協会」が13日夜、徳島市紺屋町の県道交差点から両国橋南詰めまでの区間で、大勢の連員が一斉に踊り込む「総踊り」を行った。振興協会所属連の千人以上が参加し、約150メートルの区間を30分ほどで踊り抜けた。阿波おどり実行委員会の「演舞場以外の規制区域での総踊りは危険を伴う」とする再三の自粛要請を振り切り、強行した。大きな混乱やけが人はなかった。

 総踊りが行われたのは、歩行者天国の通称「両国橋南詰めおどりロード」。午後9時以降、振興協会所属連の踊り子らが紺屋町の県道交差点北側に続々と集まった。振興協会の山田実理事長に口頭で自粛を求めた実行委の市幹部に、観客から「帰れ」と怒号が上がるなど一時騒然となった。同10時10分ごろ、鳴り物を先頭に女踊り、男踊りと、総勢千人以上が一斉に踊り込んだ。

 現場周辺には大勢の見物客が集まり、振興協会のほか、実行委の関係者も雑踏整理に当たった。

 昨年まで阿波踊りを主催していた市観光協会が多額の累積赤字を抱え、今年は市などでつくる実行委が運営。入場料収入を増やそうと、観客の人気が集中する総踊りを中止し、四つの演舞場に踊り手や観客を分散させる演出を導入した。

 実行委は7月末以降、総踊りの自粛を文書などで再三要請。これに対し、山田理事長は12日夜、総踊りを13日に行うと報道陣に明らかにしていた。

 実行委員長の遠藤彰良市長は「演舞場外では大変危険なため、再三実施しないよう求めていたが、無視して行われたことは大変遺憾。今後の対応は実行委員会で十分協議したい」などとコメント。山田理事長は「無事にけがなく終われたことがよかった。来年はできれば南内町演舞場でやりたい」と話した。