遅くなりましたが、師匠の(矢)、とある女性記者に続いて「とくしまマラソン」の結果報告です。泣いても笑っても今シーズン最終レース。4年ぶりの開催とはいえ、コースの半分ぐらいは時々練習で走っているので、アップダウンや給水所の場所はだいたい頭に入っています。地元の大会だけにランナーはもちろん沿道でも知り合いをよく見かけるので、格好いい姿を披露したいところです。

 気掛かりなのは、自己ベストの3時間4分を記録した2月26日の大阪マラソンから3週間しかたっていない点。複数の大会に出場していた4年前までは、次の大会まで最低1カ月は開けていたので、過去最短の間隔です。疲労が残っているのを考慮し、大阪マラソン後の練習は軽めのジョグで通しました。

 その代わりと言っては何ですが、3週間で体重を3キロ近く落としました。今シーズンは病気やけがで練習量が少なかったこともあり、大阪マラソンの時の体重はベストから3キロ重い68キロ。大会4日前までに64キロに落とし、そこからカーボローディング(必要なエネルギー源を体内に蓄える食事法)で炭水化物を食べまくり、大会前日の体重は65キロちょっとになりました。

吉野川河川敷に車を止め、送迎バスで県庁に向かいます

 当日は吉野川河川敷に車を止め、送迎バスで午前7時40分ごろにスタート地点の県庁へ。大勢のランナーでにぎわっています。あちこちで記念撮影が始まりました。「1、2、3、ダー!」。アントニオ猪木ばりに拳を空に突き上げて叫ぶ集団がいます。タイガーマスクやスーツ姿のおじさんなどコスプレランナーも健在。練習でお世話になったことがある「徳島かめさんランナーズ」ののぼりを発見しました。代表の山蔭泉さんやメンバーと写真に納まります。やっぱり地元の大会はいいですね。テンション上がりまくりです。

スタート地点の県庁の様子。トイレ待ちの行列ができていました

 午前9時、最前列グループからスタート。周りは2時間台の記録を持つランナーが多いようで、号砲が鳴ると勢いよく駆けだします。今回はサブ3(3時間以内で完走)を目標に、1キロ当たり4分10秒ペースで行けるところまで行く戦略です。

 流れに身を任せ、ややハイペースですが集団についていきます。「ピピッ」。左腕に付けた時計が鳴ります。1キロ目のタイムは3分42秒。おいおい、設定より30秒も早いではないか。これでは最後まで足が持ちません。少しペースを落とします。

 「ピピッ」。また時計が鳴ります。2キロ目は3分55秒。あかん、早すぎる。さらにペースを落としますが、アドレナリンが出まくっているのか暴走気味。最初の5キロは20分8秒でオーバーペースです。体の力を抜き、深呼吸して気持ちを落ち着かせます。

 吉野川北岸は西からの向かい風。強風ではないですが、それなりに体で受け止める感じです。無理をしないように設定ペースを守ります。

 ところが、15キロを過ぎて急に足が重くなり、1キロ当たり4分20秒ほどに落ちました。最初に飛ばしすぎたかな、やばいぞ。焦りましたが、折り返し地点を過ぎて西条大橋南詰め(24・4キロ)まで来れば追い風に変わるので、我慢の走りを続けます。

 そうこうしているうちに西条大橋を通過。さあ、ここからペースを上げるぞ...。あれ、逆風? いつのまにか北東の風に変わっている。マラソンあるあるの「行きも帰りも向かい風」というやつです。ふくらはぎや太ももがつり始めました。それも両足。ついには足の甲までつる始末です。5回は立ち止まったでしょうか。6年前にマラソンを始めて初の経験です。

 「ピピッ」。時計が鳴ります。38キロ地点は1キロ当たり6分20秒。大会で6分を超えた記憶がありません。足も体も動きません。「なんでこんなにきついんだろう」。大阪マラソンから3週間しかたっていないのに走ったのは無謀だったか。そんなこと、今頃思っても後の祭りですが。

 沿道の声援に支えられ、足を引きずりながら田宮街道へ。ワークスタッフ陸上競技場(徳島市陸上競技場)に入り、最後の直線が見えてきました。ここでぶざまな走りは見せられません。フォームを整えペースアップ。ゴールは目の前です。ところがあと3メートルの地点で両足がつりました。数秒立ち止まった後、歩いてゴール。3時間24分と、大阪マラソンより20分も遅いタイムです。醜態をさらし、達成感のないエンディングとなってしまいました。

徳島かめさんランナーズのメンバーと記念撮影

 新聞紙面の特集でも紹介しましたが、レース後は仕事が待っています。自宅でシャワーを浴びて慌ただしく出勤。ここであることに気付きました。数え切れないぐらい足がつったというのに筋肉痛がありません。よく考えると、記録自体は練習の30キロ走とあまり変わらないので、疲労感もありません。「走っているときはあんなにしんどかったのに」。頭の中は疑問符でいっぱいです。

 5日後の24日、昨夏から患っている病気の精密検査と定期健診で徳大病院へ。血液検査の結果を見た担当医がけげんそうな顔をしています。悪い数値が出たのかな...。焦る私に告げました。「とくしまマラソン、走らなかったの?」。聞くと、筋肉の損傷度合いを示す数値が正常のようです。強度が高い運動をした後は上がるそうで、大阪マラソンの5日後の健診では上限の6倍の数値でした。担当医にレースの模様を伝えると「体がストップかけたのかもね」。見えない疲労が残っていたということでしょうか。

血液検査の結果。筋肉の損傷度合いを示す数値が、大阪マラソン後(赤丸)ととくしまマラソン後(青丸)で全然違いました

 なんとも締まらない結果になりましたが、最後まであきらめずに完走できたのも温かい声援のおかげです。この場を借りて感謝します。病気の治療が続くので来シーズンも体の調子と相談しながらになりますが、目標は大きくサブ3。故障しないように走り込みます。

 矢田諭史(やた・さとし)
 12年のとくしまマラソンに初出場。自己ベストは3時間44分(19年のとくしまマラソン)。47都道府県の大会で完走するのが目標。

 新居和人(にい・かずと)
 17年のとくしまマラソンに初出場。自己ベストは3時間4分(23年の大阪マラソン)。今季の目標はサブ3。走り始めてから26キロの減量に成功した。

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