スタジアムグルメ(スタグル)を満喫している記者(サポーター見習い)が、アウェー観戦への夢を膨らませるきっかけになったのが能田達規さんの漫画「ぺろり!スタグル旅」(小学館クリエイティブ、3巻まで発売中)。ヒロインの女性サポーターが全国のスタジアムを巡り、スタジアムグルメと観戦を全力で楽しむ様子が描かれています。

2巻には徳島をモデルにしたチームが登場。スタグルだけでなく、監督やマスコットにも何だか見覚えがあるような… 関東から鳴門のスタジアムまでのフェリーを使ったアクセスや、試合翌日の観光の様子などが描かれています

 

 作者の能田さんは【スタジアムにいこう!】を連載当初から読んでくださっていて、応援していただいています。スタジアムグルメ特集をするにあたり、インタビューをお願いしてみたところ、こころよく引き受けていただきました!そこで、特集の2回目は能田さんへのメールインタビューをお届けします。

 

愛媛県出身の能田さんは愛媛FCのマスコットデザインを手掛けています

 ◆スタジアムグルメをテーマにした漫画を連載中。なぜスタジアムグルメをテーマに選びましたか?

 J2のホームタウンはJ1以上に日本全国に散らばっていて、その土地ごとにスタジアムグルメがとても充実していて面白いと感じました。対戦するサポーター同士のスタグル情報のやりとりはSNSでも盛んですね。

 土地土地の特色のあるスタジアムグルメの魅力はもちろんですが、いわゆる「アウェー・ツーリズム」、アウェーに行くという行為(国内旅行)も魅力です。グルメ+旅+スポーツ観戦、楽しい要素しかありません。

 スタジアムに集う人々の人間観察も面白いです。家族連れやグループの関係性などを見ています。よほど普段努力して仲良しでないと家族連れでスポーツ観戦というのは成立しないので。老夫婦でレプリカユニフォームを着ているなんてのは理想の姿ですね。

 ◆スタジアムグルメの漫画を描く上で大事にしていることはありますか?

 家族連れや気の合う仲間の集うスタジアムの祝祭感、多幸感を大切にしています。スタグルをおいしくしているのはその場の空気もあると思うので。漫画を読んで読者にスタジアムに「行ってみたい」「食べてみたい」と思ってもらうのが目標です。描いてみたら、J2好きとスタジアムグルメ+旅のマンガは相性がよかったみたいです。

 アウェー取材時には1000枚以上の写真を撮ります。スタジアムへのアクセス、スタジアムグルメの屋台の数、観客導線などチェックする項目は多いです。意外と見落としがちな、スタジアムグルメをどこで食べるかという問題のチェックも欠かせません。スタグルを食べるスペースを確保してあって、イスやテーブルをきちんと用意しているスタジアムは評価が高いですね。

 ◆漫画の主人公は千葉にある架空の2部リーグチームのサポーターですが、ご自身は故郷の愛媛FCサポーターとのこと。サッカー観戦歴や愛媛FCとのかかわりはいつからどのようなきっかけで? 

 私自身はサッカーを体育の授業でしたくらいで経験者ではありません。サッカーマンガを書き始めたのも新人時代Jリーグブームで企画が通りやすかったから(汗)。しかし当時のにわかファンもJリーグ開幕から四半世紀経ってるのでそれだけ観戦歴を積み上げてきたことになります。

 愛媛FCとの関わりは15年ほど前、JFL時代から。当時のクラブスタッフの一人が私のマンガの読者でそれが縁でマスコットキャラを依頼されたのがきっかけです。地元にJリーグクラブが出来ると思ってなかったので、実際にJ2に参入できたときは本当にうれしかったです。

 ◆全国各地のスタジアムを取材で訪れていると思いますが、印象に残っているスタジアムはありますか?

 愛媛FCがJ2に上がって初めて行った仙台スタジアムは感動しました。音の反響がすばらしく一体感が得られる構造。全周屋根は重要だなと思いました。

 ◆全国のスタジアムグルメで、能田さんのお薦めメニューはありますか?

 お薦めはいろいろあるのですが、岐阜の牛串や讃岐のカマコロ、町田の角煮カレーは定番でしょうか?最近おいしかったのは夏限定だと思うのですが7月末のアウェー水戸戦で食べた「冷水・白魚茶漬け」です。酷暑の中、夏バテの体にも優しくあっさりと食べられました。これに限らず、スタグルはその場、その瞬間だけ最高においしいと思えるメニューにひかれます。

水戸のスタジアムグルメ「冷水・白魚茶漬け」は梅と刻みのりをトッピングしてあり、あっさり食べられる(能田さん撮影)

 ◆2017年には鳴門ポカリスエットスタジアムを取材されたとのこと。ポカスタやマスコットの印象は?

 愛媛との比較になりますが、ポカスタはバックスタンドの屋根が立派でうらやましかったです。あとスタジアム周辺のイベントスペースなども洗練されていて、さすがJ1経験クラブは違うと思いました。マスコットのヴォルタくんとティスちゃんも芸達者ですばらしい。

 ◆ポカスタで印象に残っているグルメはありますか?

 焼肉丼?と徳島ラーメンです。あとポカリスエット(笑)。

 (注:徳島ヴォルティスによると、今季は焼肉丼を提供していた店舗の出店はないそうですが、今季も丼メニューは各店舗で充実しています)

芸達者なヴォルタくんは「すいぶんほきゅうはぽかりすえっと」とお薦め

 ◆単行本2巻では徳島ヴォルティスの熱心なサポーターでもある故・大杉漣さんが帯にメッセージを寄せています。大杉漣さんについて思うことはありますか?

 大杉漣さんは俳優としてもファンで、熱心なJ2サポーターということで帯の推薦文を依頼したらこころよく受けてくださってとても感謝しています。突然の訃報にただただ驚きました。直接お礼を言う機会もなくとても残念です。同じ四国出身のJリーグ好きとしてお話してみたかったです。

 ◆記者(サポーター見習い)は【スタジアムにいこう!】連載を始めるまで、スタジアムではサッカーの試合しかしていないと思っていましたが、アウェー観戦もして、グルメがスタジアムの魅力のひとつになっていると感じます。 ネット配信など、サッカー観戦の方法は増えていますが、スタジアムグルメが果たす役割についてどう考えますか? 

 90分の試合観戦だけがサッカースタジアムの楽しみではないと思います。試合までの間、仲間と語り合ったり、スタグルを食べたりする時間こそが大切。ましてやアウェーだとその土地の名物をスタグルで食べられたらとてもうれしい。それだけで遠いアウェーに行ってよかったと思えることもあります。たとえ試合の結果がどうであろうとも。このマンガを描いているうちにそれくらいスタジアムグルメは大切なものだと思うようになりました。

松山市のニンジニアスタジアムで行われた徳島ヴォルティスと愛媛FCの「四国ダービー」で試合を前に徳島サポーターがグルメを楽しむ様子=7月15日

 ◆長年応援を続けていると、シーズンや時期によって山あり谷ありだと思います。どんなときも選手とチームを応援するサポーターの皆さんにメッセージをお願いします。

 チームの成績だけはサポーターの力ではどうにもならない部分があります。スタグル食べて機嫌良くスタジアムに通う…自分なりの無理のない応援スタイルを見つけてください。家内安全、健康第一。