5日に開幕する第55回徳島県高校総体の出場者数は8998人で、4年ぶりに9千人を割り込む見通しとなった。部員がそろわないと試合ができない団体競技(戦)への少子化の影響は深刻で、今年はホッケー男子、少林寺拳法の男女団体が中止となったほか、5競技で出場校が1校だけしかない。運動部員減に歯止めをかける有効な手だては見当たらず、競技力のさらなる低下が懸念されている。
 
 県高体連によると、県高校総体の参加者は1990年の1万2600人がピーク。97年に初めて1万人を下回り、2005年に一時1万人台を回復したものの、右肩下がりの傾向が続いている。今年は過去最低だった11年を105人上回るにすぎない。

 バスケットボール、卓球など団体戦が行われる主要19競技の参加校を見ると、減少ぶりが一層鮮明となる。総数は東四国国体が開かれた1993年には男女合わせて557校だったが、高校の統廃合が進んだこともあって、昨年は462校(一部は合同チーム)、今年は443校になった。

 93年と比較して最も少なくなったのは柔道男子で、26校から6校へ20校減。チームの構成に15人(県総体は12人)が必要なラグビーは6校減で、4月の県春季大会決勝は徳島科技の選手がけがで1人足りず、非公式戦となった。

 長く阿南工と富岡西の2校が競い合ってきたホッケー男子は今年、富岡西がチーム編成できず、試合が中止となる。少林寺拳法も団体戦はない。カヌー、ボート、フェンシング、アーチェリーの男女、なぎなたは参加が1校だけだ。

 これらの競技では、他校との切磋琢磨(せっさたくま)ができない。ある指導者は「個人が技術向上に努めるのが精いっぱい。本当なら試合経験を積んで、チームワークも高めたいのだが」と無念そうに話す。

 「自分の高校にはやりたいスポーツがない」といった理由から、高校進学と同時に、競技をやめてしまう生徒が少なくないとの指摘もある。県教委は引き続き、部活動の加入率を高める取り組みを続ける方針だが、少子化による運動部員減という構造的な問題を解決する方法は見いだせていない。