「お墓参りに行こうって、きっと思いますよ」。作品を激賞する知人に不思議な感想を聞いてからほぼ5カ月。遅ればせながら、アニメ映画「リメンバー・ミー」をDVDで見た。泣けた。投稿サイトに頻出する表現を借りるなら「涙腺崩壊」である

 舞台は「死者の日」のメキシコ。年に1度家族に会うために戻ってくる死者を祭るという、お盆に似た祝日だ。とある理由で音楽を禁じられていた天才ギター少年のミゲルが、迷い込んだ死者の国で冒険を繰り広げる

 主題として描かれた「家族愛」が美しい。愛情の礎になるのは「人間は2度死ぬ」という死生観である。最初は肉体が滅びた時。そして2度目は、人々に忘れ去られた時。あなたは先祖を本当に忘れていませんか? 見る側が問い掛けられている気がして、しばしば上の空になる

 未来永劫(えいごう)、記憶にとどめるというのは難しい。それゆえ「2度目の死」を防ごうと奮闘するミゲルの姿が胸を打つ。作中で奏でる表題曲が重要な鍵で、ミゲルは・・・。おっと、これ以上はおせっかいがすぎようか

 盆が明けた。きのう、門火や灯籠流しで先祖を送った家庭も多いだろう。ナスの精霊牛にまたがって、先祖の魂は再びあの世へ。歩みはゆっくり、ゆっくり

 言葉も送っただろうか。今からでも遅くないので伝えてみては。忘れない、と。