ゲームセンターでよく見かけるクレーンゲーム。鳴門市内の施設に、なると金時をつかむゲーム機が相次いで登場した。隣の淡路島で、タマネギを景品にして人気を呼んでいるため取り入れた。遊び心で関心を引き寄せ、集客増や特産品のPRにつなげるのが狙いだ。たかがゲームと言うなかれ。観光客らが夢中になって一喜一憂しており、鳴門海峡を挟んで”特産品ゲットに向けた戦い“が繰り広げられている。
ボートレース鳴門の隣接地にある「鳴門天然温泉あらたえの湯」(鳴門市撫養町大桑島)は2017年11月のオープンと当時に、1階にある土産物店の入り口に置いた。「なると金時キャッチャー」ののぼりも作り、目立たせている。
料金は1回100円。クレーンでなると金時をつかみ取ると、獲得した1本に加えて2、3本がプレゼントされる。本数は出荷の時季や量に応じて変わり、品がそろわない場合は別の商品を贈る。
休日には数十人が挑戦し、これまでの1日最多は159人だという。担当者は「観光客は面白がってやってくれる。わざわざ目当てで来る人もいる」と話し「難易度は高くないのでぜひ楽しんでほしい」と呼び掛ける。
7月下旬には、大鳴門橋架橋記念館エディ(同市鳴門町土佐泊浦)にお目見えした。夏休みの特別イベントで、8月末まで置いておく予定。有料入館者1人に対してコインを1枚差し上げ、チャレンジしてもらう。なると金時にひもをくくりつけており、引っ掛けてつり上げる。成功すれば、ラッピングされたなると金時1本がもらえる。
来館者は思わぬ企画に戸惑いながらも、真剣な表情でチャレンジ。兄が見事につり上げ、なると金時を受け取った脇田珠花さん(11)=高知市、小学5年生=は「難しかったけど、面白かった。焼き芋にして食べたいです」と話した。
対岸の淡路はタマネギ景品
淡路島で「たまねぎキャッチャー」があるのは、大鳴門橋のたもと近くにある「うずの丘大鳴門橋記念館」(南あわじ市)だ。生き物を景品にしたクレーンゲーム機があるのを知り、「タマネギにしたら面白いのでは」と思いつき、3年前のゴールデンウイーク明けに設けた。
料金は1回100円。タマネギをつかんで取り出し口まで運ぶと、1・5キロ分のタマネギと交換する。だいたい5個入っている。昨年11月には、つかみやすいようアームを2本から3本タイプの機種に変更した。人気がさらに増し、休日には行列ができ、多い時では30人以上が並ぶそうだ。取材に訪れたのは平日だったものの、行列ができる時間帯もあった。
ゲームが行われるたびに歓声とどよめきが起き、何度も挑む人も。「買ったほうが安いやん」というぼやきも聞こえるが、つい熱くなってしまうようだ。
海水浴のために淡路島を訪れ、立ち寄った河原未美さん(19)=鳴門市撫養町、自営業=は2度目でゲット。「以前来た時に見て、楽しそうやなと思っていたのでやってみた。こんなにタマネギがもらえてうれしいです」と笑顔を見せた。
同館の保居(やすい)秀和支配人は「人気は想像以上」とし、鳴門側で同様のゲーム機が登場していることについては「鳴門海峡を挟んでお互いに盛り上がっていけたらいいですね」と期待した。