バドミントン界が違法カジノ問題に揺れたのは、2年余り前になる。桃田賢斗選手(23)は、協会から無期限の試合出場停止処分を受けた。同時に、所属会社から「更生」を名目としたプログラムを課せられている

 各地のバドミントン教室に参加し、子どもたちと交流するというもの。期待を裏切った、顔合わせできない―。そんな負い目は杞憂(きゆう)に

 行く先々で「頑張って」と励まされた。随分と無縁だったシャトル拾いなどの裏方役にも汗をかいた。心底楽しむ子どもたちと過ごし、バドミントンができるありがたさと喜びに浸ったという

 大勢に支えられてきたことを、今更ながら知る。それからは、嫌いだったランニングを毎日欠かさず続けた。好んで身に着けていた高級アクセサリーも片付けた。処分を解かれ、つかんだのは日本人初となる世界選手権男子シングルスの頂点。今月上旬のことだ

 過ちは重大である。ネット上では誹謗(ひぼう)中傷が飛び交った。社会に「抹殺」される可能性はかつての比ではなかったが、桃田選手は潔く向き合い、耐え忍んだ。あっぱれな姿勢ではないか

 ジャカルタ・アジア大会が、昨日開幕した。ここでも優勝は当然のこと、手本となる立ち振る舞いや言動を見せてほしい。で、そろそろ聞きたい。あえて封じているという「東京五輪で優勝」という目標も。