大滝瓶太さん

 今年創設された全国公募の掌編小説コンクール「徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」(徳島文学協会、徳島新聞社主催)は、神戸市兵庫区の大滝瓶太(びんた)さん(31)=フリーライター=の「青は藍より藍より青」に決まった。全国から422点の応募があり、最終選考に残った20点の中から選ばれた。

 「青は藍より―」は鳴門海峡に面した町を舞台に、藍染や人形浄瑠璃などを絡めながら、不思議な仮想世界を創出した作品。大滝さんは「徳島の文化や民話をモチーフに、自分なりの作品が書けた。うれしい」と話している。

 芥川賞作家で最終選考委員長の吉村萬壱さんは「小説の屋台骨がしっかりしていて面白い。架空の世界の中で描きながらも徳島の未来の可能性を示唆している。発想と密度において、最も受賞にふさわしい作品」と評価した。

 県内在住者と徳島出身者を対象にした「徳島新聞賞」には、坂東広文さん(58)=徳島市北常三島町3、会社員=の「海風の吹く町で」が選ばれた。

 25歳以下を対象とした徳島文学協会賞は、宮月中(みやつきちゅう)さん(24)=本名・星野凜、徳島市南前川町5、徳島大大学院=の「お見送りの川」に決まった。

最終選考は吉村さんと、徳島新聞社の宮本正理事編集局長、徳島文学協会の佐々木義登会長(四国大教授)の3人が当たった。


【特集・人】阿波しらさぎ文学賞に決まった 大滝瓶太さん


 ◆25日付朝刊から受賞3作品掲載

 「青は藍より藍より青」と吉村さんの審査評は8月25日付、「海風の吹く町で」は26日付、「お見送りの川」は27日付の徳島新聞朝刊にそれぞれ掲載します。