山を一巡りしただけで、新しい鉱脈を探り当てる。炭鉱関係者には聞き捨てならない話だが、そううわさされる鉱員がいたという

 針金一本あればいつでもウサギを、タヌキやキツネでさえ、一晩あれば捕まえられた。かつて作家内海隆一郎さんの「カンを頼りに」で紹介された勘のいい人。冬眠中のマムシの巣を見つけるのはお手のものだったというから不思議だ

 同じ山を、誰もが同じように見ているわけではない。勘のいい人なら、的を射た見方をするのかもしれない。山口県周防大島町で行方不明となり、3日ぶりに保護された男児を発見した78歳の大分の人、尾畠春夫さんはその一人

 「小さい子どもは下るのではなく、上る習性がある」。山口県警などの捜索隊に先んじる形で、捜索開始からわずか30分で見つけた。被災地支援や行方不明者の捜索に参加してきた豊富な経験が生きたのだろう

 65歳からの人生、尾畠さんを突き動かしているのは「体が元気なうちは、まだまだ世の中のために働きたい」という思いだ。いろんな人にもらった恩を別の人に返す「恩送り」を力にすれば、勘は働き、鋭くなるのか

 おととい夕、西日本豪雨で被害を受けた広島県に入った。「明日はわが身だからお手伝いするのは当然です」と語ったが、見返りを求めない姿勢が、人を励ますに違いない。