山道に設置されている看板を見て、オトヒメから聞いた「キロウサン」が〈亀老山〉という文字だとはじめて知った。

 手の中の玉手箱を気にしながら、オレは山頂を目指す。久しぶりに深く息が吸えた気がした。ようやく頂上に出たときには、太陽はもうかたむき始めていた…