自民党総裁選は、想定される9月20日投開票まで1カ月、戦いの構図が固まった。

 来週にも立候補を正式表明するとみられる安倍晋三首相(党総裁)と、既に名乗りを上げた石破茂元幹事長との一騎打ちになる見通しだ。

 3年前の前回は無投票で、選挙は6年ぶりである。

 国内外に懸案や課題が山積し、外交姿勢も問われる中での国のかじ取り役を選ぶ重要な選挙だ。政策を掲げ、方向性を示してもらいたい。

 連続3選を目指す安倍首相は5派閥の支持を得て、国会議員票で優位に立つ。しかし、5年半余にわたる政権運営では、強引さが目立っている。そこには、おごりや緩みが見え隠れする。

 先の通常国会では、森友、加計学園問題などの不祥事で野党側の反発を買った。結局、議論はかみ合わず、疑惑も払拭できないままだ。

 石破氏は10日の出馬会見で森友、加計問題を巡る首相の政権運営を念頭に「正直で公正、そして謙虚で丁寧な政治をつくりたい」と述べ、論戦に挑む姿勢だ。

 こうした批判を受けてのことだろう。首相は12日、地元の山口県で「安倍1強と言われているが、私は極めて融和的な人間だ。強権なんて長続きしない」と語った。

 応酬が始まった形だが、今回の総裁選を機に、安倍政権の在り方や国会対応について検証していくことも大切ではないか。

 争点となるのは、こればかりではない。経済成長を重視してデフレ脱却を図る「アベノミクス」もそうだ。

 企業業績や雇用面で改善がみられたとはいえ、地方への恩恵は乏しいのが現状だ。副作用も看過できない。

 石破氏はその成果を評価しながらも、軸足は地方創生に置いている。

 当面は、アベノミクスの出口戦略について、どう道筋をつけるかが焦点となっているが、人口減少時代を迎え、これまでのような成長を前提にした日本経済の姿が描けるのかどうか。真剣に議論してほしい。

 憲法9条を巡っては首相と石破氏との間で開きがあり、対決色が明確になってきた。首相は、秋の臨時国会に党改憲案を出すように促した。これに対し、石破氏は「9条は国民の理解を得て世に問うべきものだ。その努力がまだ足りない。理解なき改正をスケジュールありきで行うべきではない」と述べている。

 憲法改正は国の根幹に関わるものだ。しかし今、国民の目が向いているかといえば、そうとも言えまい。

 ならば、なぜ、改憲が必要なのか。国民の関心を喚起する意味でも、論議を深めていかなければならない。

 総裁選では、これまで300票だった地方票が今回、国会議員票と同数の405票となり、計810票で争われることになる。派閥力学にとらわれない、主体的な判断が求められよう。