靴製造が盛んな東京・浅草にアトリエ兼店舗を構えて5年。日本人の足型を研究し、何度も改良を重ねたオリジナルの木型で作る紳士靴が人気を集める。ブランド名のRENDOは、日本語の「連動」に由来する。「靴作りは実は分業制。木型製作や縫製、それぞれの工程に専門の職人がいて、いい連係プレーからいい靴が仕上がるんです」

 自身は元々、木型とデザイン画から革の型紙をおこす「パタンナー」。浅草の老舗メーカー・セントラル靴で腕を磨き、独立した。木型製作の基礎も習得し、大手アパレルの受託製造など仕事の幅と人脈を広げる中で、RENDOをスタートさせた。

 「目標は最高の既製靴」との言葉に象徴されるように、自社で手掛けるのは木型製作、デザイン、型紙作りまで。生産は信頼する古巣の工場に任せ、販売は自社で。吉見さん自身が店頭で客の好みや要望を聞き出しながら、完成品に微調整を加える。「多くの人が、高価なオーダーメード靴と大量生産の既製靴の間にある、いいあんばいの価格と履き心地を求めてきた。それを提供するのがRENDOの役割だと思っている」

 中学、高校時代はサッカーに打ち込んだスポーツマン。大学在学中、語学留学先の英国で製靴の専門学校に通い始めたことが転機となった。当初は「好きな靴に関する商売のノウハウを学べたら」との軽い気持ちだったが、周りは脱サラ組や母国の奨学金を受けて留学してきた本気の学生ばかり。いつの間にか、自分も靴作りの奥深さにのめりこんでいた。

 既に東京暮らしの方が長くなったが、帰省時は古里の穏やかな時間を楽しむ。特に心地よいのは、人と人との近さ。「レジ待ちの列でも飲食店でも、隣り合った人同士で自然と会話が始まる。東京ではない光景だし、話し掛けられるとうれしい」。

 よしみ・てっぺい 徳島市出身。城北高、明治大商学部卒。大学在学中に英国のロンドン・コードウェイナーズ・カレッジで靴作りの基礎を学び、帰国後は都立城東職業能力開発センターで技術を磨いた。セントラル靴を経て2007年、独立。13年、社名をスタジオヨシミに変更し、台東区浅草7丁目にアトリエをオープン。40歳。