老朽化で閉鎖した徳島市文化センター。市は跡地に新ホールを建設する方針を固めた=同市徳島町城内

 徳島市の遠藤彰良市長は徳島駅西側駐車場で進めてきた新ホール整備計画について、22日の市中心市街地活性化推進本部(本部長・遠藤市長)の会合で、建設予定地の見直しを表明する。代替候補地として、2014年度末に閉館した市文化センター跡地(同市徳島町城内)を挙げる見通しだ。変更理由については、土地取得費が不要で総事業費を抑制できる上、文化センター閉館後の「一日も早く文化活動の発表の場を」と切望する市民の声を重視したとみられる。

 市は市議会6月定例会で、駅西での概算事業費(建設費、土地整備費、借地料含む)を141億円とし、開館時期も埋蔵文化財発掘調査などのため、当初予定の23年度から5年遅れる見通しを示した。新町西再開発事業でのホール買い取り額156億円に迫る巨額に膨らんだため、市議会から反発が相次いだ。

 市は定例会閉会後も土地所有者のJR四国側と協議を続けたが、事業費抑制や期間短縮に向けた抜本的改善には至らないと判断。また、文化センターを利用してきた文化関係約20団体に対する聞き取り調査で、大半の団体から「一日も早いホール整備を」といった要望が相次いだことも、駅西からの方針転換を後押ししたようだ。

 新ホールを巡っては遠藤市長が16年、音楽・芸術ホールを中核施設とする新町西再開発事業を白紙撤回。新たな候補地として、市側から▽徳島駅西(4851平方メートル)▽市文化センター跡地(4538平方メートル)▽市立動物園跡地(1万8879平方メートル)の3案が「新ホール建設候補地検討会議」に示され、検討会議は昨年、駅西を優先検討するよう提言していた。

 検討会議に示されていた残る2案のうち動物園跡地周辺は、市の都市計画で「第一種住居地域」に指定されており、規制を外すには都市計画法に基づく変更手続きに1年以上かかる。文化センター跡地は動物園跡地よりも早く着手でき、事業費も抑制できるため、代替候補地に再浮上したとみられる。

 ただ文化センター跡地は駅西より敷地が狭く、駅西で市が描いた施設構想に比べて規模が縮小される可能性もあり、論議を呼びそうだ。