里見、第一人者の実力示す―。将棋の第34期女流王位戦5番勝負(徳島新聞社など新聞三社連合主催)の第4局は里見香奈女流王位(31)=白玲、清麗、女流王座、倉敷藤花=が3勝1敗で伊藤沙恵女流四段(29)の挑戦を退けた。

 第2局に続く向かい飛車戦となった注目局。里見が4五歩(35手目)から4筋攻略に動き、4五銀(43手目)と攻め立てた。伊藤は昼食休憩を挟む1時間25分の長考で5七歩(44手目)を利かし、3三角(46手目)と苦心するも、里見ペースの展開になり、以降は大駒が飛び交う激しい中盤戦に突入した。伊藤は4七角(72手目)や7六歩(74手目)の勝負手を放って追い上げ、最後は懸命の粘りを見せたが届かなかった。

 形勢がはっきりした最終盤は淡々と進み、8五銀を見た伊藤は駒台に軽く手を添えて頭を下げた。直後のインタビューで里見は「力を出し切れたかと...」と話し、伊藤は「類型との微妙な違いが悩ましかった」と振り返った。

 立会人の武市三郎七段(69)は「結果的に攻めを誘った伊藤女流四段の2六歩(38手目)が問題だったかもしれない。仕掛け以降は里見女流王位のペースになり、伊藤女流四段が繰り出す勝負手を、緩急自在の指し回しでかわした一局」と総括した。

指していて充実感

 里見香奈女流王位の話 間合いの難しい序盤だったが、4五歩(35手目)から動き、受けづらいのかなと思っていた。7三歩(79手目)から8一銀(81手目)のところは、こちらも怖さを感じていた。4七竜(89手目)と角を取って、玉が安定し、指せるかなと感じた。(シリーズ通じて)力戦で、一手一手考えていく将棋だった。指していて充実感があった。

最終局行けず残念

 伊藤沙恵女流四段の話 4五銀(43手目)の場面はかなり難しい。急所と思って読みを入れ、5七歩(44手目)とした。4七角(72手目)は攻防手のようではあるが、4一竜(73手目)とされると難しくなっている。終盤は受けている展開になり、足りなくなった。(5番勝負は)どの場所でも気持ちよく臨むことができた。実力不足で最終局に行けなかったのは残念。

 【第4局指し手】

▲5六歩  △3四歩
▲5八飛  △4二銀
▲7六歩  △4四歩
▲5五歩  △4三銀
▲3八銀  △3三角
▲4六歩  △2二飛
▲4七銀  △6二玉
▲9六歩  △9四歩
▲3六歩  △2四歩
▲6八玉  △2五歩
▲2八飛  △7二玉
▲7八玉  △5二金左
▲5八金右 △8二玉
▲1六歩  △7二銀
▲5六銀  △6四歩
▲3七桂  △7四歩
▲2九飛  △6三銀
▲4五歩  △同歩 
▲4九飛  △2六歩
▲4五桂  △4四角
▲5三桂成 △同金
▲4五銀  △5七歩
▲6八金寄 △3三角
▲5四銀  △同銀左
▲同歩        △8八角成
▲同玉    △5四金
▲4一飛成 △7二金
▲5五歩  △3三角
▲7七角  △5二銀打
▲3一竜  △8五桂
▲5四歩  △7七桂成
▲同桂    △7五歩
▲8六金  △4二飛
▲5三歩成 △同銀
▲2一竜  △4八飛成
▲6六桂  △4七角
▲4一竜  △7六歩
▲同金    △7五歩
▲同金    △7四歩
▲7三歩  △同桂
▲8一銀  △6二金
▲5四歩  △4二銀
▲7二歩  △5一銀
▲5三歩成 △同金
▲4七竜  △同竜
▲7一角  △8一玉
▲5三角成 △6二銀打
▲7四金  △7二銀
▲5四馬  △8二飛
▲7五桂  △5六竜
▲8三金  △5四竜
▲8二金  △同玉
▲5四桂  △6五角
▲6二桂成 △同銀
▲3一飛  △7六金
▲8三銀  △同角
▲8一飛打 △同銀
▲8三桂成 △同玉
▲8一飛成 △8二桂
▲7二角  △7四玉
▲8五銀
まで121手で里見香奈女流王位の勝ち