強い台風20号は23日午後9時ごろ、徳島県阿南市付近に上陸し、県内の海岸線沿いを北上した。徳島に上陸したのは2011年7月の台風6号以来7年ぶり。県内は夕方から夜にかけて風速25メートル以上の暴風域に入り、激しい風雨に見舞われた。徳島新聞の午後9時時点のまとめでは、全24市町村の977世帯1357人が公民館などに避難した。
徳島地方気象台によると、雨は南部の山間部を中心に夕方から強まった。県の雨量計では、上勝町殿川内で午後8時までの1時間に97ミリの猛烈な雨を記録。同町生実では同7時20分までの1時間に71ミリ、神山町阿野では午後8時までの1時間に65ミリ、那賀町府殿で同7時半までの1時間に61ミリの非常に激しい雨を観測した。
降り始めの20日午前6時から23日午後10時までの総雨量は、那賀町木頭出原で391・5ミリ、上勝町福原旭で374・0ミリ、徳島市で65・5ミリなど。
沿岸部は雨が少なかったものの、風は強まり、阿南市蒲生田では最大風速が午後6時54分に観測史上最大の29・4メートル、美波町でも最大瞬間風速が同6時43分に観測史上最大の41・0メートルを記録した。
鳴門市では広い範囲で高潮とみられる被害が発生した。土佐泊漁港周辺では深い所で道路が30センチほど冠水している。市が家屋の浸水被害を調べている。
23日午前10時半ごろ、吉野川市鴨島町上下島の国道沿いを自転車で走っていた同町内に住む中学1年の男子生徒(13)が突風にあおられ転倒し、肘と膝を負傷した。松茂町広島では同日夜、強風で飛ばされそうになった車庫の屋根を押さえていた40代男性が指を切る軽いけがをした。
午後11時時点で鳴門、三好、阿南、那賀など11市町村の7万1988世帯15万9858人に避難勧告が出されている。