就航から15年を迎える阿南市津乃峰町の答島港と伊島港を結ぶ連絡船「みしま」のエンジントラブルが目立つようになった。例年は年1回程度の故障が今年は7月末までに4回発生しており、漁船で代替した。運航会社は、本年度中にも新造船に関する協議を市などと始める。唯一の移動手段として利用する島民約160人は不安を募らせている。
連絡船(19トン、定員48人)は約1億1200万円かけて03年11月に就航。答島港-伊島港間の約15キロを1日3往復(片道約30分)し、年間約1万7千人が利用する。
船を運航する有限会社「伊島連絡交通事業」(同市伊島町)などによると、代替船の使用を余儀なくされる大規模な故障が、今年は4月と7月にそれぞれ2回、エンジン関連で発生した。
船の修繕中は、契約する島内の漁船(定員18人)で代替。4月は船の修繕と年1回の定期点検を同時に行ったため約3週間、7月は約2週間、それぞれ漁船を使った。
漁船には客室がない上、連絡船に比べて揺れが大きく、高齢者が乗船を控えるケースもある。月3回程度の通院のため連絡船を利用している女性(85)は「漁船は乗り降りの際に段差が大きく、航行中も寝転がれないので疲れる」と話す。
運航会社の赤字は毎年度3千万円前後で推移し、全額を国、県、市が負担している。修繕費や代替船の運航回数が増えれば赤字は膨らむため、同社は国や県、市などとの協議会で新造船について検討する方針だ。
国土交通省四国運輸局によると、連絡船の更新目安は約20年。しかし、伊島の航路は潮流が速く、特に冬場の荒波はエンジンや船体へのダメージが大きいという。同社の神野梅夫代表取締役(62)=同市伊島町=は「島民に安全に利用してもらえるよう、できるだけ早く協議を進めたい」と話している。