呪縛されるのも、呪縛から解かれるのも人の言葉かもしれない。言葉はお守りになったりもする

 徳島ペンクラブ主催「とくしま随筆大賞」に選ばれた渡辺惠子さん(59)=徳島市=の「最後の葉っぱ」を読んだ。母の期待に応えられずに悩んでいた高校3年の頃。その日も小言を聞かされ、逃げ込んだのは華道家の祖母の稽古場だった

 完成間近の作品を前に、祖母は「最後の葉っぱ」を丹念に選んでいた。しばらくして葉先が割れた、傷のある葉を引き寄せる。「何でこの葉っぱでないとあかんの?」と聞くと、こう言う。「花でも人間でもな、神さんから与えられた適材適所があるんよ。ほんでその場所では、必ず輝けるようになっとるんでよ」

 最後の一枚が入り「全体に趣が出たやろ」と祖母。神妙な顔になり「勉強は学校で教えてくれるけどなあ。あんたが一番きれいに咲ける場所は、誰もあんたに教えてくれんけん、これから自分で探すんでよ」

 23日付本紙文化面に全文が掲載されると、知人から共感の声が寄せられたという。掛けられた言葉一つで、重荷が軽くなった、そんな経験を持つ人も多かろう。先人の教えが支えになることもある

 期待に応えられない、居場所が分からないと悩んでいる人たちに、この言葉を。「与えられた場所は必ずあるんよ」。人それぞれに花あり。