県畜産研究課が育てている阿波とん豚の子豚=上板町の同課飼育場

県畜産研究課が育てている阿波とん豚の子豚=上板町の同課飼育場

 徳島県が開発し、2013年10月に市販された新銘柄豚「阿波とん豚(とん)」の出荷数が伸びている。子豚が成長して母豚が増えているためで、15年度の月平均は14年度の1・5倍以上に上っている。阿波とん豚は販売量が少ない上、目新しさや味の良さから品薄状態が続いており、県はさらに増産を進め、消費者に広く浸透させることでブランドの確立を図る。

 出荷数は、初年度の13年度(10月から14年3月)が61頭、14年度は135頭。県内20カ所の指定販売店で月1回か、2カ月に1回しか並べることができず、毎回予約で埋まっていたり、すぐに売り切れたりする状況だった。

 これに対し、15年度の出荷数は12月末時点で157頭になっている。月平均の出荷ペースは14年度の11・2頭から、17・4頭に増え、各店で週1回近く販売できるようになっている。

 出荷数が伸びてきたのは、母豚の数が当初の10頭から25頭に増加したのが大きな要因。母豚を提供している肥育農家は15年内に1軒増えて3軒となり、母豚はさらに10頭増える見込みだ。

 県は16年度の出荷目標数を600頭に設定し、指定店でほぼ毎日販売できるようにするとともに県外展開も視野に入れている。阿波とん豚を使った食事を提供する料理店の指定も行う予定だ。

 このため増産に向けた取り組みを進めている。豚は平均5回ほど出産するが、阿波とん豚が1回に産む子豚は平均約6頭と一般の豚の半分ほど。県畜産研究課は16年度に平均7頭まで増やすことを目指し、多産の母豚の子を優先的に繁殖に活用しているほか、精子や卵子の動きを活発にする飼料添加物を研究中だ。

 開発者の新居雅宏専門研究員は「肥育農家も飼育のこつをつかんできており、出荷600頭の目標達成は十分可能だ」と話している。