四国大は、スポーツ分野で活躍する学生の県内就職をサポートする「STARプログラム」を本格的に進める。推薦入学で受け入れた学生が卒業後も県内にとどまり、国内の主要大会や、五輪などの国際大会で活躍できるよう地元企業、自治体などに雇用を求める試み。企業側の採用が広がれば、徳島の競技力向上にもつながりそうだ。

 「STAR」は「Shikoku University Top Athletes Rearing(育成)」の略。

 プログラムでは、四国大が県内企業などに、選手として活躍する学生の情報提供や採用依頼などを行う。昨年11月以降、「徳島からオリンピックで活躍するアスリートを」をキャッチフレーズに、企業などに趣旨への理解や協力を求めており、年末までに11社・団体から賛同を得た。

 四国大はスポーツをキーワードにした大学づくりを進め、本年度入試からスポーツ分野特別入学試験制度(推薦入試)を導入。高校時代に陸上、弓道、女子サッカー、女子バレーボールの4競技で優秀な成績を収めて入学するなどした14人に奨学金を給付している。

 このうち、推薦入試の合格者らで結成した女子サッカー部「四国大イーグレッツ」は創部1年目で皇后杯、全日本女子サッカーの両選手権出場を果たすなど、一定の成績を残した。プロチーム「INAC神戸」との交流や連携も深めている。

 2016年度は、推薦入試の対象競技を拡充させる。すでに、陸上円盤投げで日本高校記録を樹立した幸長慎一選手(生光学園高)ら20人程度が入学する見通しとなっている。

 ただ、これらの学生が卒業後、県外に流出したり、競技をやめたりする可能性がある。大学で育てた人材を県内で有効に活用するためには、県内雇用を促す必要があると判断した。

 1993年の東四国国体前、県はスポーツ振興財団に県内外から数多くの選手を受け入れるなどし、強化を図った。大半は後に指導者となったが、歳月が経過し、後継者づくりが急務となっている。学生が県内にとどまれば、競技力向上や選手育成への効果も期待できる。