小松島市立江町の立江八幡神社の秋季例大祭で奉納される「立火吹筒花火」を継承する住民組織「立江八幡宮煙火保存会」が、結成から30年目の節目を迎えた。約40年前に途絶えた花火を復活させて守り続ける中、新たな担い手も生まれており、保存会は「地域の伝統文化を次代に残したい」と意欲を見せている。
江戸時代後期に始まったとされる立火吹筒花火は、節を抜いた竹筒に火薬を詰め、火の粉を吹き上がらせる仕掛け花火。火薬取締法の強化や少子化による担い手の減少で、1980年ごろにいったん姿を消した。
「伝統のともしびを絶やしたくない」と、89年に地元有志15人が保存会を結成。花火を復活させ、火薬の調合や筒詰めなど一連の製造作業に取り組んでいる。活動が評価され、2013年に市文化財に指定された。
保存会は毎年、例大祭の1週間ほど前から同市立江町の花火製造所「市山煙火商会」で花火づくりを始める。メンバーの宮本林二さん(69)=同市立江町青森=は「地元の子どもたちの思い出になればと続けてきた。今では楽しみにしてくれている住民らが増えてうれしい」と話す。
今年6月に、市内の30~40代の3人が入会するなど、新たな担い手も増えている。メンバーに加わった尾田幸運さん(35)=同市金磯町、会社員=は「例大祭で見た花火の美しさに感動した。作り手の個性が反映されるのが面白い」と話す。
9月15日に実施する今年の奉納花火では、例年5本ほどの吹筒花火を15本に増やして結成30年を祝う。
保存会の矢野伸二会長(65)=同市立江町金岡、農業=は「多くの人に支えられて活動は続いてきた。後継者を育て、会を盛り上げていきたい」と話している。