米国のロードアイランド州の美術大「ロードアイランドスクールオブデザイン」の学生ら23人が、吉野川市山川町川東の阿波和紙伝統産業会館を訪れ、自作アートに活用する和紙を制作している。特別研修として14日まで滞在し、手漉(す)き製法を学ぶ。美術大のダニエル・ヘイマン教授(52)=版画=が2011年に始め、今回で5回目。
研修は7日スタート。版画やグラフィックデザイン、工業デザインなどを専攻する学生が参加し、同館の藤森洋一理事長(68)らから指導を受けている。
学生は和紙製造の全工程を体験。原料のコウゾを畑で収穫し、表皮のはぎ取りや、木の棒でたたいて繊維をほぐす作業に取り組んだ。伝統的な道具を使った手漉きにも挑戦している。
初めて手漉きを体験したエミル・ガンバスさん(21)は「和紙作りは一つ一つの作業が繊細で難しいが、とても興味深い。本の制作やデジタルプリントでの印刷など、創作のイメージが広がる」と興奮していた。
ヘイマン教授が02年に同館を訪れ、和紙作りに触れたことがきっかけで、研修を行うことになった。日本の文化を味わえるプログラムは学生の関心が高いという。14年に「和紙 日本の手漉和紙技術」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたこともあって、人気はさらに高まり、20人の参加枠に70人の応募があった。
ヘイマン教授は「日本の伝統や歴史を学べる素晴らしい機会。多くの刺激を受け、成長してほしい」と語った。
一行は徳島を離れた後、和歌山県の高野山や京都府などで神社仏閣を見学し、27日帰国する。