河野太郎消費者行政担当相は15日の記者会見で、消費者庁を徳島県に移転する際の課題を洗い出すため、この夏に長期的に職員を現地に派遣する考えを示した。河野氏は「消費者庁は徳島に行かないということにはならないと思っている。(移転に向けた)ステップを着実にこなしたい」と説明した。

 河野氏は、3月に消費者庁長官らを神山町へ約1週間派遣してテレビ会議などを実践する方針をすでに示しており、夏の派遣はさらに長期間とする意向だ。

 県は長官らの試験的な勤務に向け、「神山オフィス準備チーム」を立ち上げ、消費者庁と協議を始めている。地方創生推進課は「移転実現に向けての長期的な業務試験という実践的な提案をいただき、大変ありがたい。引き続き気を引き締め、全庁を挙げて3月の業務試験をはじめ、一つ一つの課題を丁寧にクリアしていきたい」とコメントした。

 政府は3月にまとめる国機関の移転方針に、消費者庁の移転を明記する方向で調整している。ただ、庁内には「業者の指導が行き届かなくなる」などの懸念があるほか、消費者団体の反発も強く、移転の規模などは見通せない。

 石破茂地方創生担当相は、15日の記者会見で「いろんな意見は当然。懸念に応えられるかどうかを国民に判断していただくことが大事だ」と強調した。