全国に210カ所ある児童相談所が2017年度に児童虐待の相談や通告を受けて対応した件数が13万3778件(速報値)に上り、過去最多を更新したことが30日、厚生労働省のまとめで分かった。統計開始から27年連続の増加。配偶者への暴力で子どもがストレスを受ける「面前DV」が心理的虐待として認知され、通報を受けた警察が児相通告を徹底化していることを反映した。徳島県の17年度の児相対応件数は634件(同)で、前年度に比べ24件減った。16年度に虐待で死亡した子どもが前年度比7人減の77人(心中の28人を含む)、今年6月時点で所在不明の子どもが28人いることも判明した。
 
 児童虐待を巡っては、3月に東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=が両親から虐待されて死亡する事件など深刻なケースも後を絶たず、政府は7月に児相の体制強化など緊急対策を打ち出している。

 厚労省は30日午後、省内で全国の児相所長を集めた会議を開き、結愛ちゃんの事件を受けた緊急対策を説明。児相間の引き継ぎ徹底や警察との情報共有強化を求めた。

 厚労省によると、虐待の対応件数は15年度に初めて10万件を突破。15年度から16年度にかけては1万9289件増えていた。17年度は1万1203件(9・1%)の増加で、大半を警察からの通告が占めている。

 対応件数を内容別に見ると、面前DVや無視、暴言など心理的虐待が54・0%を占め、身体的虐待が24・8%、育児放棄(ネグレクト)が20・0%、性的虐待が1・2%だった。

 都道府県別では、大阪(1万8412件)が最多。神奈川(1万3928件)、東京(1万3707件)が続いた。最少は鳥取の76件。

 減少した県は徳島など13県で、16年度の7県から増えたものの、神奈川など5都県では対応件数が千件以上増加した。