那賀町内の12郵便局と見守り協定を締結する坂口博文町長(右)=町役場

那賀町内の12郵便局と見守り協定を締結する坂口博文町長(右)=町役場

 那賀町は、町内の全事業者に呼び掛け、高齢者らの見守り活動を行う「見守りネットワーク連絡会」を月内に立ち上げる。高齢化が進む中、地域を挙げて支える体制を整えるのが狙いで、業務中に高齢者らの様子に目を配り、気になることがあれば町に連絡してもらう。県によると、県内市町村が地域の全事業者を対象に協定締結を目指すのは初めて。

 那賀町は、商店や金融機関、町社会福祉協議会、ボランティアグループなど約500事業者・団体との締結を進めている。事業者は、夜中に1人で歩いていたり、洗濯物が何日も干しっ放しになっていたりするなど異常に気付いた際、町に通報。連絡を受けた町職員が安否を確認する。

 認知症患者が徘徊(はいかい)して行方不明になった場合には、町が該当地区の事業者らに一斉メールで情報提供し、消防団などと連携して捜索に当たってもらう。

 町は、先行して徳島新聞那賀町販売店会、海川郵便局と協定を締結。2015年11月から町内の事業者らにネットワークの設立を呼び掛け、これまでに335事業所が加盟する町商工会、12郵便局と協定を結んだ。さらに賛同する事業者を増やし、今月27日に発足式を兼ねた第1回連絡会を開く。

 同町は、高齢化率が45・52%(16年1月末時点)で、独居の高齢者は1030人(15年12月末時点)に上る。過疎化に伴い、今後も独居世帯が増えることが予想される。

 町は「行政だけでは限界がある。孤独死や行方不明者の発生を防ぐため、地域ぐるみで見守り、一人でも多くの人を救いたい」としている。