神山町議会の補欠選挙が投開票され、新人5人が当選した。町議5人が辞職に追い込まれた公選法違反事件を巡る混乱で、議会は機能停止状態に陥っている。一日も早く正常化させ、信頼回復に取り組まなければならない。

 町議5人の辞職後、議会は「空白期間をつくるべきではない」などとして、自主解散の道を選ばなかった。これに対して住民からは、全ての議員に責任があるのではないかとの批判が出ていた。住民のこうした思いも、しっかりと受け止める必要がある。

 補選が決まってからは、選挙戦となる6人以上の候補が出るか懸念された。事件の影響で告示後も候補者の動きは鈍く、論戦は低調だった。議会の活性化が急務である。

 元町議5人は、無投票だった2015年の町議選で立候補を見送った町議に現金50万円を渡したとして、買収容疑で逮捕・書類送検された。地検は罪の軽い寄付行為で起訴したが、初公判では、被告が町議に「無投票にしたい」と働き掛けたと指摘している。

 議員を選ぶ貴重な機会を住民から奪おうとする行為は、言語道断である。

 金銭授受による無投票工作の疑いが発覚したのは、昨年12月の徳島新聞の報道だった。町議らは当初、金銭授受の事実さえ否定し、授受を認めた際も「慰労名目だった」と釈明を続けた。

 今年1月に同僚議員4人から刑事告発されても、現金を渡した町議が正副議長に就任するなど自浄能力は発揮されず、町民をあきれさせた。

 新たな議会は、なれ合い体質からの脱却を図らなければ信頼回復は程遠い。

 当選した町議らは選挙戦で「議会のあしき慣習をなくすのは今しかない」と訴えた。まさにその通りだが、住民からは「議会にはもう失望している」と厳しい声も少なくなかった。全ての議員が批判を肝に銘じ、議会改革に全力を挙げなければならない。

 まずは、町民の多様な声をどのようにしてくみ上げるのかに知恵を絞るべきだ。ケーブルテレビやインターネットで中継する議会も増えている。議員活動を積極的に伝えることで、関心を高めてもらう努力が欠かせない。

 神山町はIT企業のサテライトオフィス誘致や移住先として注目を集めている。先進的な試みは、議会や町の不祥事によってイメージダウンを余儀なくされてきた。

 さらに、過疎化や高齢化によって、町村議員のなり手不足は全国的に深刻化している。総務省の有識者研究会は3月、議員確保へ提言を出した。町村議会の存続は大きな転換点を迎えている。

 改革は国任せでは実現しない。住民の理解と協力を得ながら、将来のあるべき議会の姿を考えてもらいたい。

 町政に目を光らせる議員の意識が変わらなければ、安心して生活はできない。住民もしっかりと議員活動を監視することが求められる。