徳島県は、環太平洋連携協定(TPP)の発効を見据え、県産農林水産物の生産から流通、販売に至るまでを総合的にサポートする体制を構築する。12日発表した2016年度当初予算案に関連事業費3億8200万円を計上した。TPPのメリットを最大化する”攻め“の戦略として、商品のブランド化や首都圏への販路拡大に取り組み、「もうかる農林水産業」の実現を目指す。

 東京都内に16年度中に開設する予定の「とくしまブランドギャラリー(仮称)」は、従来のアンテナショップとは一線を画し、県産品のブランド化推進に向けたさまざまな機能を持たせる。

 単に商品を並べるのではなく、食をテーマにしたワークショップの開催、県産食材を使った「こだわりの食」の提供などを通じて、商品が生まれるまでのストーリーや生産者の思いを共有できる仕組みを構築する。宿泊機能を生かして都市部在住者との交流も進め、徳島の文化を発信する。

 県は、空きビルを活用してギャラリーを開設する方針で、物件の選定や運営形態の設計などに3億5千万円を充てる。

 生産や販売の拡大に取り組むため、県と県農業開発公社、JA徳島中央会、JA全農とくしまの4団体が1月に発足させた「とくしまブランド推進機構」も本格稼働する。

 飲食店など実需者のニーズと生産者のデータを一元化して調整する司令塔役の「トータルコーディネーター」を配置。県内を三つのエリアに分け、それぞれにエリアマネジャーを置き、契約栽培の拡大や首都圏への販路開拓に取り組む。

 まずは農産品からスタートさせてルートを確立し、将来的に農林水産品全般を扱うことを目指す。関連事業費は2500万円。

 このほか、チャレンジ産地構造改革事業として700万円を計上。消費者のニーズが高いブロッコリーなどの野菜の増産に向けた新たな生産モデルの実証を行う。