最盛期を迎えたシラスウナギ漁。今季から漁期が短縮された=徳島市の吉野川大橋付近

最盛期を迎えたシラスウナギ漁。今季から漁期が短縮された=徳島市の吉野川大橋付近

 ニホンウナギの稚魚・シラスウナギの漁獲量が近年減っていることを受け、徳島県は今季、漁期を短縮した。河川の漁期を15日短くし、海の漁期とそろえることで資源の回復を図る。水産庁も保護に向けて規制を強化しており、県内の漁業者や養鰻(ようまん)業者は「収入面では厳しいが、長い目で見れば仕方ない」と理解を示している。

 12月15日からの漁期は、昨季までは海が翌年の4月15日まで、河川が4月30日までだった。漁協関係者や学識経験者でつくる県内水面漁場管理委員会は、昨秋の議論で「稚魚の保護が必要」と漁期の短縮に踏み切った。

 委員会は2013年に漁期短縮を議論した際、漁業者の収入減などを理由に実施を見送っていたが、漁獲量の減少が止まらないことから方針転換した。

 県漁業調整室によると、過去10年の県内漁獲量は05~06年期の5661キロが最多。その後300キロ~1700キロ台で推移し、昨季は571キロ、今季も昨年12月は前年同月比3割の34キロにとどまった。

 内水面漁場管理委員を務める徳島市第一漁協の田村弘則組合長(46)は「これだけ稚魚が減れば、捕る側も何かしなければ」と危機感を募らせる。

 水産庁は中国などとの国際協議を経て昨季、養鰻業者が養殖池で育てる稚魚の量に初めて上限を定め、過去3年の平均量までとした。今季は養鰻業を許可制にし、稚魚の量が上限を上回れば200万円以下の罰金を科すなど罰則を設けた。

 県内でも外国産の稚魚を仕入れる養鰻業者が増えており、このまま稚魚が減り続ければワシントン条約締結国会議で将来、稚魚の国際取引が制限される恐れがあるからだ。

 33業者でつくる県養鰻協議会の犬伏正夫副会長(64)は「取引制限阻止へ資源保護の姿勢を国際的に示す意味でも、国の規制を守っていく必要がある」と話した。