徳島県内でトラック運転手が不足している。運送会社の求人数は増えているのに、求職者は減少。トラック業界は、改正道交法による中型免許創設で主力の5トントラックが普通免許で運転できなくなったことや、低賃金が背景にあるとみており、営業職の従業員を運転手に回すなど対応に苦慮している。
徳島労働局によると、県内の貨物自動車運転手の有効求人倍率は2012年が0・97倍(有効求人数1431人、有効求職者数1478人)、13年1・44倍(求人1867人、求職1295人)、14年1・90倍(求人2027人、求職1067人)と上がり続けている。
県トラック協会は、求職者減の一因として07年の道交法改正を挙げる。それまでは8トン未満の車両なら普通免許で運転できたが、改正法で5トン以上11トン未満の車両が「中型」と規定され、運転に中型免許が必要となった。
中型免許の試験を受けるには普通免許取得から2年以上が必要で、名神急送(石井町藍畑)の高木香恵代表取締役(43)は「即戦力として働けないことを考えると、高卒者は採用しづらい」と明かす。
賃金の低さも運転手不足に拍車を掛けている。協会によると、90年の規制緩和でトラック業界に参入する社が増加し、値引き競争で運送料が下がったことが給与に反映された。14年の国の賃金構造基本統計調査では運輸業・郵便業の残業手当などを含まない給与の平均は月額24万6900円で、県内全職種平均の月額26万800円を下回っている。
スター急便(徳島市助任本町3)は近年、定年退職などで従業員数が減少。保有しているトラック49台に対し、運転手は39人しかいない。このうち5人はもともと営業職や事務職だが、人手不足の影響で約2年前からハンドルを握っている。繁忙期は下請けにも応援を頼むが、それでも足りず、仕事を断ることもあるという。
沢田昌一代表取締役(46)は「業務拡大のため採用人数を増やしたいが、運送業界の不人気もあり、求職者は少ない」と渋い顔。協会は「夜間の配達など不規則な勤務形態に加えて若者の車離れが進んでおり、今後ますます人手が減るのではないか」と懸念している。