徳島県議会2月定例会が18日開会する。環太平洋連携協定(TPP)や移住・交流人口の増加につなげる「とくしま回帰」への対策を盛り込んだ2016年度当初予算案をめぐる議論が焦点となる。TPPの発効を見据えた生産者支援の在り方や、県内での業務試験が目前に迫った消費者庁移転などについて論戦が展開されそうだ。
16年度当初予算案は総額4851億円で、7年連続の増額編成となった。県は「地方創生・本格展開」予算と位置付け、このうちTPP対策関連事業費としては2月補正予算案と合わせて127億円を計上した。
TPPが発効した場合、県内の農林水産業が受ける影響額を県は最大で年23億4540万円減になると試算。しかし、生産者からは「影響はもっと大きいはずだ」と疑念の声も聞かれる。生産現場の不安をいかに解消し、安定した経営に結び付けられるか、県の戦略が問われる。
「とくしま回帰」に向けては、移住の促進や子育て環境の整備など課題は多い。人口減対策に全国の自治体が知恵を絞る中、どう取り組むべきか。消費者庁や国民生活センターの移転に対しても、国や関係団体の反対の声は根強く、理解を得るのは容易ではない。実現に向け、議会からの提言が求められる。
鳴門わかめの産地偽装問題も深刻だ。繰り返される偽装に鳴門わかめのブランド力は失墜し、消費者の信頼は失われつつある。業界のモラルが問われるのはもちろんだが、県として講じられる対策はないのか。積極的な議論が期待される。