入試に向けて勉強に励む澁谷さん(中央)=海陽中

 脳性まひで手足をほとんど動かすことができない海陽町の海陽中学校3年澁谷友哉さん(15)=同町浅川=が、代筆で3月8日の高校入試に挑む。県内公立高校入試の一般選抜で代筆受験が行われるのは初めてとみられる。志望校の海部高校(同町)と県教委に2年がかりで要望を重ねてきた澁谷さんは「障害者とその親が将来に希望を持てるよう道を切り開きたい」と話している。

 電動車いすで学校生活を送る澁谷さんは指先を動かせるものの、文字を書くことはできない。中学校では付き添いの教員がノートに代筆し、他の生徒と共に授業を受けている。成績は学年トップクラスで、教科書をめくることも思うようにならない困難を乗り越えて勉学に励んできた。

 中間や期末のテストは他の生徒と同じ問題を別室で受ける。言葉で解答を伝えて教員が記入するため、漢字の書き取りでは部首を正確な名称で説明。数学の作図は方法を細かく指示するといったルールを設けている。

 地元の小中学校へ通った澁谷さんは、中学卒業後について「体のことを考えれば支援学校の方がいいのかもしれないが、勉強を頑張りたい」と海部高の受験を決意した。

 要望を受けた海部高と県教委は、中学校での授業やテストの様子を撮影した動画などを基に代筆受験について協議を重ね、可能と判断。願書が提出されれば正式に認める。

 代筆受験が可能な大学入試センター試験では代筆による時間ロスを考慮し、通常の1・3倍の試験時間を確保している。澁谷さんの受験でも1・3倍とし、解答を伝える際のルールを設けた上で高校の教員が代筆する。

 県教委は代筆受験を含む過去の特別措置について「個人の特定につながる恐れがある」として件数や内容を明らかにしていない。

 県肢体不自由児者父母の会連合会は「高校入試の代筆受験は、県内では聞いたことがない。障害者の権利の実現につながる」と期待する。

 大学受験を目指す澁谷さんの将来の夢は地学者。過去に津波被害に遭ってきた地域で生まれ育ったことから「精度の高い地震予測システムを構築し、一人でも多くの人が助かるようにしたい」と語った。