麻疹ウィルスに対して有効な治療法はありません。従って麻疹に対しては予防が大切です。麻疹の予防にはワクチンが有効です。

 小児に対するワクチンは定期接種として1歳児と就学前に2回行われていますから、ワクチンを受けている小児のほとんどは麻疹の免疫を持っていますから麻疹が発生した時でも小児の間で麻疹が蔓延することはありません。今年の3月に沖縄で麻疹が発生した時に罹ったのは20~40歳の成人で、約8割を占めていました。この人たちの麻疹ワクチン接種歴を調査すると、接種歴不明の人や未接種者が多く、1回のみ接種者がこれに次ぎます。ワクチンを受けていても1回接種では長年月の後、麻疹抗体が低下していると考えられます。

 麻疹は自然に罹った場合に最も強い免疫を獲得します。現在、40歳代以上の成人は自然麻疹に罹って免疫を獲得している人が多く、ワクチンによる免疫でもその後麻疹に接触していれば免疫は強化されます。

 外国には麻疹が蔓延している国があります。麻疹の免疫を持たない人が麻疹蔓延国に旅行すれば感染する危険性があります。外国からの旅行者の中にも麻疹の発病前の人が混じっている可能性があります。

 今後、海外旅行や外国からの旅行者が増加すると、麻疹が持ち込まれる可能性が増えます。空港や医療機関の従事者が麻疹患者に接触する機会が多くなりますから、これらの人達の免疫の有無が問題になります。

 20~40歳の成人は親世代ですから、麻疹に罹ると家庭に持ち込みワクチン未接種の子どもにうつすことになります。自分のワクチン接種歴や罹患歴を知ることが大切です。