妊娠中、多くの女性は子どもを母乳で育てたいと思っています。しかし生後1か月で完全母乳栄養している人は約半数です。今月は母乳の利点や問題点について考えてみました。

 母乳は栄養、免疫、成長・発達、母子の健康、心理、社会、経済、環境にとって有利であるとされます。

 まず感染防御の点から、新生児が無菌状態の子宮内から病原菌の存在する子宮外生活に移行する際に母乳に含まれる白血球、つまりマクロファージや好中球およびリンパ球が細菌などを貪食し、またサイトカイン、補体、リゾチーム、ラクトフェリンなどを産生して、Tリンパ球への抗原提示やBリンパ球を刺激して免疫グロブリンの産生を促すことなどで総合的に免疫機能を発揮します。

 また母乳中のたんぱく質には機能性たんぱく質と呼ばれる多くの物質が含まれます。これには免疫の発達を制御する物質や抗炎症因子、酵素、ホルモン、成長因子などが含まれています。α―ラクトアルブミン、ラクトフェリン、リゾチーム、分泌型IgAなどは感染防御に働きます。

 母乳栄養で育った子どもには中耳炎、呼吸器感染症、消化管感染症が少ないことが明らかです。また喘息やアトピー性皮膚炎・湿疹などのアレルギー疾患のリスクが減ること、肥満や糖尿病のリスクが減ることも知られています。新生児の初めての栄養として母乳はとても大切なものです。